研究課題/領域番号 |
13218020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深山 正久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70281293)
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研究分担者 |
後藤 明輝 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90317090)
仁木 利郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90198424)
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キーワード | 肺腺癌 / 悪性度 / 遺伝子発現 / DNAチップ / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
肺腺癌に特異的な遺伝子変化、あるいは肺腺癌の生物学的挙動に関連した遺伝子変化を同定する目的で、肺腺癌の発現プロファイルの解析を進める。本年度は、以下の3点について検討を行った。(1)肺腺癌の血清診断、治療標的の同定に向けたプログラムの開発とその応用:肺腺癌12症例と正常各臓器での遺伝子発現プロファイルのデータを比較解析し、非癌肺組織よりも肺腺癌で高発現している遺伝子の中から診断、治療標的の候補を12種類選出した。候補遺伝子を効率よく選出するため、従来のような手作業でなく、臓器の大きさや臓器特異的な血管構造などを考慮した臓器ごとに閾値を設定し結果を見ながら閾値設定を変化できるインタラクティブなシステムを構築した上で遺伝子の選出を行った。(2)トランスクリプトームの情報からゲノムの増幅、欠失を予測するプログラムの開発とその妥当性の検証:網羅的に解析可能なtranscriptomeの情報からからゲノムの欠失、増幅等の癌の原因となり得る構造異常を検出するExpression Imbalance Mapというアルゴリズムを開発した。この方法は従来のCGHよりも高い分解能でゲノムの構造異常を検出可能であった。また正常肺と肺扁平上皮癌のDNA chipによって得られた発現情報をこの手法により解析することにより、従来CGH等で報告されているゲノムの増幅、欠失とよく一致した結果が得られることを確認した。(3)炎症・創傷治癒と浸潤・転移に共通して発現誘導される遺伝子の解析:癌の浸潤・転移に重要な遺伝子の中には、炎症・創傷治癒の過程で誘導される物質が多い。その代表的物質であるlaminin-5のγ2鎖に注目し、その転写開始地点の上流1.5kbの領域の解析を行った。また培養細胞を用いた「引っ掻きアッセイ」が、癌の浸潤先進部における遺伝子発現誘導のモデルになることを確認した。
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