Xestospongia属の未同定種海綿から、まず活性物質の単離を行った。海綿500gをエタノールで抽出後、抽出物を水とエーテルで2層分配を行った。水層をさらにブタノールで抽出した。活性の認められたブタノール画分を60%メタノールとクロロホルムで分配したところ、含水メタノール画分に活性が検出された。そこで、この画分をODSを用いる逆相フラッシュクロマトグラフィー、ポリスチレン担体のTSK-gel G3000Sによるクロマトグラフィー、Sephadex LH-20を用いるゲル濾過により、活性画分1.5gを得た。これをさらにフェニルエチルカラムを用いる逆相HPLCおよびC30カラムを用いる逆相HPLCに順次付して、活性を示す化合物を4種単離した。 得られた化合物の構造決定は600MHzNMRとタンデムFABマススペクトルなどの機器分析を中心として行なった。すなわち、高分解能FABマススペクトルで分子式を導き、COSYスペクトルから水素原子どうしのつながりを調べた。ついで、HMQCおよびHMBCスペクトルから水素と炭素の間の関係を明らかにし、さらに、マススペクトルデータを検討し構造の推定を行った。最初の化合物はスペクトルデータから既知化合物のcyclostellettamine Aと同定された。残る3つの化合物もすべて2つのピリジン環を含む大環状化合物であったが、新規な化学構造であったため、それぞれcydostellettamine G、dehydrocyclostellettamine Dおよびdehycrocyclostellettamine Eと命名した。これらの化合物のヒストンデアセチラ-ゼに対する阻害活性はIC50値17-80mc/mLであった。
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