2001 年度実績報告書

DNA塩基配列を正確に読み取るテーラーメード抗がん剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号	13218046
研究種目	特定領域研究(C)
研究機関	東京医科歯科大学
研究代表者	杉山弘東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50183843)
キーワード	テーラーメード抗がん剤 / コンビナトリアル合成 / DNA塩基配列
研究概要	これまでの研究により2本鎖DNAの塩基配列を正確に認識するピロール-イミダゾールポリアミドに、抗がん性抗生物質デュオカルマイシンの反応部位にビニルリンカーを介して結合させたポリアミドコンジュゲートがDNAに対して配列特異的にアルキル化することが明らかとなっている。本年度は認識配列を伸ばすことを目的とし、これらを共有結合でダイマーとした分子を合成し配列特異的なインターストランドクロスリンカーを設計した。これらの分子はパートナー存在下でのみ効率良く2本鎖DNAをインターストランドクロスリンクした。またヘアピン型ポリアミドについても認識部位と反応部位の間にビニルリンカーを挿入したコンジュゲートを合成した。ヘアピン型ピロール-イミダゾールポリアミドはビニルリンカーをもたないものと比べDNAに対する反応性も飛躍的に高まった。また認識配列の長い分子を簡便に合成する目的で、ポリアミドの固相合成法を確立することに成功した。また固相合成が確立したことによって、すべての可能な配列を読むポリアミドプールの合成についても原理的に可能になった。配列レベルでの分子標的をコンビナトリアル的に探索するためには、今後は特定のがん細胞に選択毒性を示すものを効率よく選び出すスクリーニング法を開発する必要がある。DNAアルキル化剤は1970年代の第一世代の抗がん剤と言われ、開発は頭打ちになっている。DNAアルキル化剤に正確な塩基配列特異性を付与することによって、副作用のないテーラーメードの抗がん剤を開発する糸口ができるものと考えている。

研究成果

(5件)

すべてその他

すべて文献書誌 (5件)

[文献書誌] Bando, T., Iida, H., Saito, I., Sugiyama, H.: "Sequence-specific DNA lnterstrand cross-linking by imidazole-pyrrole CPI conjugate"J. Am. Chem. Soc.. 123. 5158-5159 (2001)
[文献書誌] Baraldi, G., Balbone, G., Pabani, M.G., Spalluto, G., Clercq, E., Baizarini, J., Bando, T., Sugiyama, H., Romagnoli, R.: "Design, Synthesis, DNA Binding and Biological Evaluation of Water-Soluble Hybrid Molecules Containing Two Pyrazole Analogues of the Alkylating Cyclopropylpyrroloindole (CPI) Subunit of the Antitumor Agent CC-1065 and Polypyrrole Minor Groove Binders"J. Med. Chem.. 44. 2536-2543 (2001)
[文献書誌] Tsuyoshi Fujiwara, Michiko Kimoto, Hiroshi Sugiyama, Ichiro Hirao, Shigeyuki Yokoyama: "Synthesis of 6-(2-Thienyl)purine Nucleoside Derivatives That Form Unnatural Base Pairs with Pyridin-2-one Nucleosides"Bioorg. Med. Chem. Lett. 11. 2221-2223 (2001)
[文献書誌] Takanori Oyoshi, Andrew H.-J.Wang, Hiroshi Sugiyama: "Photoreactivity of 5-iodouracil-Containing DNA-Sso7d Complex in Solution : The Protein-indicated DNA Kinik Causes Interstrand Hydrogen Abstraction from the 5-Methyl of Thymine at the 5' Side"J. Am. Chem. Soc.. 124(in press). (2002)
[文献書誌] 杉山弘: "遺伝子認識化合物「生命化学のニューセントラルドグマ」"化学同人. 35-43 (2002)

2001 年度 実績報告書

DNA塩基配列を正確に読み取るテーラーメード抗がん剤の開発

研究代表者

杉山 弘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50183843)

研究成果

[文献書誌] Bando, T., Iida, H., Saito, I., Sugiyama, H.: "Sequence-specific DNA lnterstrand cross-linking by imidazole-pyrrole CPI conjugate"J. Am. Chem. Soc.. 123. 5158-5159 (2001)

[文献書誌] Tsuyoshi Fujiwara, Michiko Kimoto, Hiroshi Sugiyama, Ichiro Hirao, Shigeyuki Yokoyama: "Synthesis of 6-(2-Thienyl)purine Nucleoside Derivatives That Form Unnatural Base Pairs with Pyridin-2-one Nucleosides"Bioorg. Med. Chem. Lett. 11. 2221-2223 (2001)

[文献書誌] 杉山 弘: "遺伝子認識化合物「生命化学のニューセントラルドグマ」"化学同人. 35-43 (2002)

2001 年度実績報告書

杉山弘東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50183843)

[文献書誌] 杉山弘: "遺伝子認識化合物「生命化学のニューセントラルドグマ」"化学同人. 35-43 (2002)