研究概要 |
血管内皮プロテインCレセプター(EPCR)の発現を指標にした早期発見を検討するためにELISA法の構築を行った。 1.スタンダード、免疫抗原として使用するためのリコンビナント可溶化EPCRを動物細胞で大量に発現し、精製する方法を確立した。 2.リコンビナント蛋白を抗原として、ポリクローナル抗体を作成した。 3.これまでに作成した、約350種の抗EPCRモノクローナル抗体をスクリーニングして、コーティングに適したものを選出した。 4.検出抗体として、ビオチン、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ標識抗体を検討した。 上記の材料を組み合わせて最適条件の検討を進め、10ng/mlの感度で、可溶化EPCRを血清、血漿中から検出できるサンドイッチELISA法を確立した。この方法によって癌患者の血清サンプルの測定を開始している。乳癌由来の細胞株であるMDA-1には、EPCRとトロンボモジュリンの両者を発現していて、効率的なプロテインCの活性化を触媒している。この細胞はマトリックス・メタロプロテアーゼ-2(MMP-2)を産生しており、これが活性化プロテインCによって効率的に活性化されることも確認できた。従って、EPCRの機能が,プロテインCの活性化、MMP-2の活性化を経由して癌の浸潤や血管新生に関与している可能性があるので、引き続き解析を行っている。また、血管新生を伴う癌以外の疾患に関してもEPCRの血清レベルを測定している。
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