研究課題/領域番号 |
13218101
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河野 通明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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研究分担者 |
河野 功 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20038607)
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キーワード | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ / MEK阻害剤 / アポトーシス / チューブリン / 転移 / ポリフェノール |
研究概要 |
1.MEK阻害剤とチューブリン重合阻害剤の併用が、ERK-MAPキナーゼ系が恒常的に活性化されている癌細胞株に対して示したアポトーシス誘導の相乗的増強は、ヒト大腸癌細胞をヌードマウスに移植したXenograftにおいても極めて顕著に認められる事を見いだした。一方、パクリタキセル(チューブリン脱重合阻害剤)とMEK阻害剤の併用では、アポトーシス誘導の増強が全く認められなかった。また、MEK阻害剤とチューブリン重合阻害剤との併用によるアポトーシス増強に際して、新たなタンパク質合成を介したc-Jun N-terminal kinase (JNK)の持続的、かつ顕著な活性化を認め、これが必須の役割を果たしている事を、JNKに対する特異的阻害剤、及びDominant Negative JNK遺伝子を利用して明らかにした。 2.ERK-MAPキナーゼが恒常的に活性化されている多くの癌細胞において共通に、Matrix metalloproteinase (MMP)-3/-9/-14及びCD44の発現上昇が認められ、それらはいずれも高いマトリゲル浸潤能を有することを見いだした。また、上記癌細胞をMEK阻害剤で処理すると、MMPs、CD44の発現抑制、さらにマトリゲル浸潤能が顕著に阻害された。これらの結果より、ERK-MAPキナーゼ系の遮断が癌細胞の増殖抑制だけでなく、浸潤・転移の抑制につながることを見いだした。 3.様々な薬用植物より単離したポリフェノール類を中心に合計102化合物について、ERK-MAPキナーゼ系を選択的に遮断する化合物の探索を進めたが、現時点において期待するような活性を有する化合物の発見に至っていない。
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