研究概要 |
1.化学療法剤、抗体医薬や新規分子標的薬剤における、がん細胞の耐性機構の基礎的研究を行い、今年度は、サイトカインによる細胞死ではCD13の発現が耐性機構のひとつであることを明らかにし、克服には酵素阻害剤ubenimexが有用であることを示した。肺癌細胞、血管内皮細胞において薬剤の添加によるDNA microarrayを行い、発現増強する遺伝子、抑制される遺伝子を解析した。運動性や転移に関係する候補遺伝子が見出された。血管内皮細胞の増殖抑制や血管新生を抑制を制御できる可能性がある。今後ubenimexを患者さんに投与して酵素や各種遺伝子発現の変化を検討する自主研究を審議中である。また共同研究で、細胞質内標的分子を研究している。Cis-platinによる耐性機序については、Spring8による解析を行い、薬剤自身の取り込みの低下、分布の異常が明らかになった。 2.現在注目されている抗体療法rituximab,herceptin、シグナル伝達阻害剤glivecによる治療は、標準治療も変更される勢いであるが、耐性例について研究した。B細胞性リンパ腫株細胞の樹立により、補体依存性殺細胞効果の耐性機序ではCD55その中心であることを見出した。この克服について研究中である。glivec耐性株細胞による細胞死の耐性機序ではMAPK/ERK系が重要である知見が得られた。リン酸化されたMAPK/ERKは核からの輸送に依存していることを見出した。この部分は今後の耐性克服に重要なヒントとなる。また新規薬剤としてproteasome inhibitorであるbortezomibとubiquitinationについて研究を開始した。Bortezomib添加時の遺伝子変化を研究中である。
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