研究課題/領域番号 |
13220008
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
二村 雄次 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80126888)
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研究分担者 |
中沼 安二 金沢大学, 医学部, 教授 (10115256)
神谷 順一 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70194975)
濱口 道成 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90135351)
小田 高司 名古屋大学, 医学部・付属病院, 助手 (30311715)
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キーワード | 肝内結石症 / 肝内胆管癌 / 癌疫学 / 民族疫学 / 症例対象研究 / 国際研究者交流 / 日本:台湾 |
研究概要 |
1.臨床病理学的研究 肝内結石症に合併する肝内胆管癌の前癌病変として胆管上皮の過形成、ディスプラジア、初期病変としてin situ carcinoma, microinvasive carcinomaが存在することを明らかになった。これらの乳頭状の増殖性病変、腫瘍性病変では、粘液産生、胃腸上皮化生が高度にみられ、サイトケラチン20やMUC2蛋白の過剰発現があり、p53の変異、Reg遺伝子の過剰発現が認められた。 2.症例対照研究 長庚紀年医院における肝内結石症に関する症例対照研究(肝内結石症153例、対照304例)を行った結果、肝内結石症患者は、女性では有意に低身長であり、養育児童数が多く、河川水の飲用の既往でオッズ比は上昇し、高学歴になるほどオッズ比は低下することが明らかとなった。肝内胆管癌に関する症例対照研究結果(肝内胆管癌22例、対照44例)の解析では、肝内胆管癌患者では、女性で有意に低身長であり、男性では高学歴になるほどオッズ比が低下する結果であった。これら結果は、肝内結石症、肝内胆管癌の発生が不良な社会経済状態による不十分な衛生状態、感染症罹患に関連する可能性を示唆するものと考えられた。 3.分子生物学的・分子疫学的研究 肝内胆管癌を伴わない肝内結石症、肝内胆管癌を伴う肝内結石症についてDNAアレイを用いた癌関連遺伝子発現の解析を行っ結果、肝内結石症の結石肝では、非結石肝に比較して、proto-oncogene、tumor supressor geneの発現が包括的に活性化していることが明らかとなった。肝内胆管癌を合併した肝内結石症においてはmet proto-oncogene erbB proto-oncogeneに加えて、Ret proto-oncogeneの発現が亢進していた。
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