研究課題/領域番号 |
13220013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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研究分担者 |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60214392)
松田 貴雄 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10304825)
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キーワード | 絨毛細胞 / 胞状奇胎 / 増殖・分化・癌化 / Ras / MAPK / JAK / STAT / SOCS1 / NECC1 |
研究概要 |
奇胎は胎盤絨毛細胞の過剰増殖さらに高率な絨毛癌化という特異な表現型を示す。本研究では奇胎で示される特異な表現型の決定、さらには高率な癌化の分子機構の解明を通して、正常胎盤絨毛細胞の増殖・分化及び癌化のメカニズムを明らかにすることを試みた。 1.絨毛細胞増殖の分子機構:正常絨毛細胞で高発現し、奇胎で発現抑制される6遺伝子を単離した。この中にはJAK/STATシグナルを負に制御するSOCS1遺伝子も含まれていた。同時に正常絨毛及び胞状奇胎絨毛間における細胞増殖シグナルの相違を明らかにするため、マイクロアレイを用いた大容量遺伝子発現変化解析を行った。胞状奇胎絨毛ではRas-MAPK及びJAK/STATシグナル伝達を構成する遺伝子発現の亢進さらには、アポトーシス抑制に機能する遺伝子群の発現亢進が観察された。胞状奇胎は絨毛の過形成をその病理学的特徴とするため、これら遺伝子群の発現亢進が絨毛細胞の増殖に関与すると示唆された。 2.絨毛癌抑制遺伝子の単離:正常胎盤絨毛で高発現し、絨毛癌で発現抑制される遺伝子としてNECC1を単離した。NECC1は正常奇胎絨毛及び胞状奇胎絨毛で発現していたが、絨毛癌細胞においてはその発現を消失していた。FISH法及びハイブリッドパネルを用いた解析から4q12領域に残存することが判明した。NECC1発現を欠如する絨毛癌細胞でNECC1を強制発現すると多型で大型の細胞が高頻度に出現した合胞体絨毛細胞の特異的マーカーであるhPLを発現していた、このためNECC1はラングハンス型絨毛細胞から合胞体絨毛細胞への分化過程で機能し、絨毛癌細胞の造腫瘍性抑制することが示唆された。7q11.22領域から絨毛癌抑制遺伝子候補を単離した。現在その機能解析を行っている。
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