グローバルな規模で進展する情報経済と新たな社会制度デザインに関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13224016
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 須藤 修 東京大学, 大学院・情報学環・社会情報研究所, 教授 (10179286)
• 研究分担者: 榊 俊吾 東京工科大学, メディア学部, 専任講師 (20367204) ; 田中 秀幸 東京大学, 社会情報研究所, 助教授 (30332589) ; 出口 弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60192655) ; 後藤 玲子 東京大学, 社会情報研究所, 助手
• キーワード: 情報経済 / 制度設計 / 電子政府・電子自治体 / 環境問題 / 持続的経済成長 / 労働・就労 / セキュリティ・マネジメント / 地域民主主義

研究概要

本研究は、情報化を契機とする社会構造変動プロセスを分析し、情報格差の発生・増幅など社会変動に伴う社会的コンフリクトを抑止しながら、社会的厚生を増大させることを可能にする、新たな社会制度を構想することを目的としている。中間組織を軸にした社会進化のプロセスを明らかにしようとする点に、本研究の1つの独自性がある。経済学を中心として、法学、経営学、社会学および政策論などにおける国内外の最先端の研究成果を取り入れて研究を行うと同時に、政策関係者、NPO関係者、ビジネスパーソン、技術者など各層の参加を得て、経済社会の動きとの関係づけを強くもって研究を進めた。
平成15年度は、これまでの二年間の研究成果を踏まえて、情報社会における公私の連携及び機能分担に焦点を当てて研究を行なった。今年度研究実績として特筆すべき点は、研究対象と研究方法において下記のような展開を行なったことである。
研究対象については、新たな社会システムの枠組みを包括的に提示するために、環境、イノベーション、労働、情報セキュリティ、そして地域民主主義という今後の展望を構想する上で考察が不可欠な研究課題に主題的に着手し、これまでの研究成果と整合的であり、かつそれをさらに発展させた新しい社会制度を構想した。
研究方法については、第一に、社会制度設計に確かな方法論的基礎付けを与えるべく、社会学習動学とエージェントベースモデリングを応用した社会の制度設計論を発展させた。第二に、情報通信技術に関する最先端の研究成果を取り入れた上で新しい社会制度を構想するために、理科系の柱との連携を強化して研究を進めた。

研究成果

• [文献書誌] Tutomu Morigaki, Kanta Matuura, Osamu Sudo: "An Analysis of Detailed Electronic Time-Stamping Using Digital TV"Proceedings of the 2004 IEEE International Conference on e-Technology, e-Commerce and e-Service. (to appear in March). (2004)
• [文献書誌] 須藤 修: "環境と情報システム"環境保全への政策統合-岩波講座 環境経済・政策学(寺西俊一;細田衛士編). 5. 155-184 (2003)
• [文献書誌] Osamu Sudoh: "e-Government Project and New Social Development in Japan"E-government in Canada, its Implementation, State of Development and Future Directions. 1-7 (2003)
• [文献書誌] 田中 秀幸, 松浦 幹太: "情報セキュリティ・マネジメントの制度設計"Network Security Forum 2003. 1-17 (2003)
• [文献書誌] 榊 俊吾: "技術転換と持続的成長の制御モデル"NII Journal. 7. 37-50 (2003)
• [文献書誌] 後藤 玲子: "情報社会における取引秩序のガバナンス"経済セミナー. 582. 48-53 (2003)
• [文献書誌] Masayuki Ishinishi, Hiroshi Deguchi, Hajime Kita: "Study on a Dynamic Resource Allocation for Communication Network Based on a Market-based Model"Springer-Verlag. 200 (2003)