研究概要 |
近年,携帯電話や無線通信などの普及により,屋外におけるインターネット利用が当たり前になって来ている.われわれの行動を支援する際に,「位置情報」は極めて重要な役割を果たす.しかし,位置に関係する情報を誰もが簡単に発信できる機構が,インターネットの主要サービスとしては実現されていない.現在は,地図ベンダーが中心になって,地図データおよびそれに関係付けられたコンテンツとして,閉じた形態での位置情報交換しか実現できていない.モバイルコンピューティング時代においては,インターネットに適合する新しい位置情報サービスの枠組みを早急に確立することが重要である. 本研究では,インターネットに適するスケーラビリティのある位置情報流通を実現する基盤となる,(1)「分散位置情報サービス」と(2)「空間コンテンツ融合」の体系化およびシステムの実現を行う. 平成13年度は,分散位置情報サービスとして,日本における住所情報と位置情報とを対として,あいまいな住所情報から位置情報を高速に検索する分散システムの開発を行い,運用実験を行い,実運用にも耐えうるシステムであることが実証できた.また,空間コンテンツ融合として,風景写真情報と地図情報とを統合化するための実用的な枠組みを3次元投影変換を基本に確立した.具体的には,実写風景にさまざまなアイコンを配置し,それを地図だけでなく,多くの写真で,位置情報をキーに情報共有する枠組みを体系化し,実際にプロトタイプシステムを開発し,われわれの枠組みの有効性を確かめた.本研究は,来年度以降には,理論面・実用面・機能面から拡張を行い,一般ユーザが位置情報をキーにさまざまなマルチメディアコンテンツを共有できる環境を実現する基盤として普及・発展させる予定である.
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