研究分担者 |
森 眞一郎 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (20243058)
上田 和紀 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10257206)
近山 隆 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40272380)
五島 正裕 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90283639)
八杉 昌宏 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (30273759)
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研究概要 |
本研究では,計算機システムが備えている広域性と局所性の両方に対応できる適切な計算量モデルとソフトウェアシステムの構築を可能にするために,計算連続体と呼ぶ概念に基づいて,さまざまな観点から,計算に関する既存概念の再検討,統合,および発展を図ろうとしている. 平成15年度の主な研究成果は次のとおりである. 1.計算連続体の詳細な計算モデルの設計とそのシミュレータの実装 メモリとの距離によって決まるアクセスコストこそが計算コストの主体であるとの考えに基づいて設計したモデルに対して,平成14年度から開発を行ってきた仮想機械のシミュレータの完成度を高めるとともに,C言語に似た文法をもつ高水準言語のコンパイラも完成させた.これらによって,上記モデルによる実験環境がほぼ完備した. 2.並行言語モデルLMNtalの実装 階層的グラフ構造の書換えに基づく計算モデルLMNtalに対し,スタックを用いて効率よく書換えルールの適用順序を制御する方式,および階層化された膜単位での並列分散実行を可能にする処理系の実装方式を提案し,この方式に基づくプロトタイプ処理系を実装した. 3.階層的グループ化に基づくコピー型ごみ集めによる局所性改善 メモリ領域自動管理システムであるごみ集め(GC)の一方式であるコピーGCに関して,ヒープ領域内でデータオブジェクトをコピーする際に,少量のスタックで大部分を深さ優先順にコピーするごみ集め方式(限定スタック法)を提案し,さまざまな角度からその性能評価を行った.性能評価の結果,提案する方式は高速な処理を可能とし,128バイト程度の小さなスタックを追加するだけで,メモリアクセスの局所性を大幅に改善することが示された.
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