研究課題
平成17年度は、「人間と共生する情報システム」実現のコア技術として本研究で提案した「自律ダイナミクスを持つ情報システムによる自然なヒューマン・マシン・インタラクションの実現」に焦点を当てて研究を行い、以下の成果を得た。1.マルチメディア信号におけるタイミング構造のモデル化とその応用:1つの事象を表すマルチメディア信号において、異なったメディア間に存在するタイミング構造をモデル化する枠組みとして、各メディア信号を時区間(信号の単調変化区間)に分割し時区間同士の相互関係を表すマルチメディア・インタラクション・モデルを提案し、音声と口の映像による発話イベントの記述および音声信号からそれと同期した口映像を生成するアルゴリズム開発し、実験によってその有効性を示した。2.人間の仕草の動的変化の解析に基づく興味の推定と行動の誘発:対象に対する人の興味の度合いの時間的変化を人の示す仕草から定量的に計測・推定し、その値を用いて人の行動を誘発する方法を考案した。音声による説明を聞きながら商品を品定めしているという実験環境下において、本方式で観測された興味の強さと、被験者や実験主催者が評価した主観的な興味の強さとの関係を調べ、両者に高い相関があることを確認した。また、興味の強さの時間的変化に基づいて、音声ガイドのタイミング・内容を制御することによって、被験者が商品を手に取るという行動が誘発されやすくなるという知見が得られ、proactiveな情報提供の有効性が示された。3.イベント駆動型制御とその表現:動的に変化する環境と相互作用をする多自由度ロボットの行動制御という問題を対象とし、動的環境とのリアルタイム・インタラクションの記述・表現法を考案した。具体的には、環境との接触といった身体の力学的拘束条件の変化と各身体部位に対する間欠的な制御信号間の時間関係に基づいて、定性的な運動の構造をイベント・グラフとして表現し、学習によってグラフに含まれる定量的な運動制御パラメータを求めるという枠組を提案し、トランポリン上での多関節ロボットの跳躍運動をタスクとして、シミュレーションにより手法の有効性を検証した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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