研究課題/領域番号 |
13226027
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
山本 直樹 国立感染症研究所, エイズ研究センター, センター長 (00094053)
|
研究分担者 |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90263160)
|
キーワード | HIV-1 / pseudotype / マウス白血病ウィルス / Integration / CXCR4 / KRH |
研究概要 |
多くのヒト細胞は侵入後の過程においてHuman immunodeficiency virus type 1(HIV-1)に感受性であるが、その感染メカニズムの全容は未だ明らかになっていない。HIV-1感染における細胞内因子の関与を明らかにし、その特異的な阻害剤を開発することでエイズの治療に貢献することを目的として発現クローニング法を行った結果、HIV-1感染に抵抗性を示す細胞株を単離した。これらの細胞株のもつHIV-1抵抗性について詳細に解析した結果、同じレトロウイルスであるMoloney murine leukemia virus(MLV)には感受性であること、親細胞との融合後にHIV-1感受性を維持するもの(HIV-1抵抗性は優性形質)、及びHIV-1感受性を回復するもの(劣性形質)とに分かれることがわかった。優性形質をもつものに関しては細胞内に抗HIV-1活性をもつ分子が優位に多く発現している可能性が考えられ、その分子の同定を試みているところである。また劣性形質をもつものに関しては、まずHIV-1感染成立に必要な細胞性因子が欠落している事が考えられた。この細胞株ではHIV-1遺伝子が細胞のゲノムに組み込まれる過程(Integration)に問題があることが明らかになった。現在までにHIV-1のIntegrationをStimulateする細胞性因子はIn vitroでのみ示されていたのに対し、実際に培養細胞レベルでHIV-1 integrationに要求される細胞性因子の存在を示唆することが出来た事実は非常に興味深い。HIV-1に感染するヒト細胞株の中にこれらの様なHIV-1感染に抵抗性を示す細胞が存在する事実に関心が寄せられる他、これらの細胞株はHIV-1感染メカニズムの解明に非常に有用である。 一方、CXCR4の特異的低分子阻害剤KRH seriesの薬剤については、in vitroにおける実験はほぼ完了し、小動物における安全性実験による候補薬剤の絞込みを行っているところである。
|