研究概要 |
H-2^bバックグラウンドのIL-15ノックアウト(KO)マウスにL.monocytogenesを感染させてNK,γδ型T細胞、NKT細胞、さらにリステリア抗原特異的CD4^+T細胞、CD8^+T細胞の推移を調べた。感染早期の腹腔内NK,γδ型T細胞、NKT細胞の増加はIL-15KOマウスではほとんど見られなかったが、CD44^+CD4^+T細胞、CD44^+CD8^+T細胞はコントロールマウスと同様に増加した。感染7日目のIL-15KOマウスの脾臓CD4^+T細胞をリステリア死菌と抗原提示細胞と培養すると強いγインターフェロン(IFN)が産生された。さらにPEで蛍光ラベルしたラベルしたH2M34量体にフォルミル化メチオニンを含むリステリア由来のペプチドを結合したテトラマーを用いて、リステリア抗原特異的CD8^+T細胞の推移を調べたところ、脾臓および腹腔内では抗原特異的CD8^+T細胞はコントロールマウスに比べて著しく増加していた。正常マウス骨髄由来の樹状細胞にこのリステリア抗原をパルスしてIL-15KOマウスを免疫しても強いCD8^+T細胞応答が誘導された。一方、感染後期(21日目以降)では逆に抗原特異的CD8^+T細胞数は有意に減少した。同様にMycobacterium bovis(BCG)感染させて14日目のCD4^+Th1細胞およびCD8^+Th1細胞はIL-15KOマウスで多く産生されていたが、感染後期ではコントロールに比べメモリーCD8^+T細胞が有意に減少していた。IL-15はエフェクターCD4^+T細胞およびCD8^+T細胞の産生には抑制的に働き、メモリーCD8^+T細胞に対して促進的に働くと考えられる。
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