研究課題/領域番号 |
13226042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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研究分担者 |
河村 伊久雄 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20214695)
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キーワード | 結核菌 / リステリア / マクロファージ / アポトーシス / ネクローシス / 細胞内寄生 / サイトカイン / カスパーゼ |
研究概要 |
結核菌が感染マクロファージを活性化しTh1細胞応答を誘導する上で重要なIL-12の産生誘導因子について結核菌培養上清からの精製を進めてきた。本年度は精製過程で得られた候補画分をSDS-PAGEで展開し、認められた1本のバンドを質量分析計にて解析した結果、結核菌のフェリチンと同定された。新たな自然免疫リガンドの候補として今後の解析が期待される結果であった。 結核菌が感染宿主細胞内で長期生存し増殖する機序として、感染マクロファージではアポトーシスやネクローシスが阻害されている可能性について、種々のカスパーゼ阻害剤を用いて解析した。感染細胞では一定のアポトーシスがみられたので、zVADfmkによりカスパーゼを阻害した。しかしアポトーシス誘導を阻害しても細胞内増殖は改善されず、逆に増殖抑制がみられ、電子顕微鏡的観察により、zVADfmkによるカスパーゼ阻害はむしろ感染細胞のネクローシスを促進することが判明した。種々の特異的阻害剤を用いた実験により、特にカスパーゼ9の中心的作用が明らかになり、結核菌はカスパーゼ依存的なネクローシスの阻害によって自身が感染する細胞の破壊を抑制していることが示された。 細胞内寄生菌であるリステリアが産生するリステリオリシン0(LL0)のサイトカイン誘導活性について解析を進めた結果、細胞死を起こさない低濃度のLL0はCaイオンの流入を促して上皮系細胞のNF-κB活性化と炎症性サイトカイン応答を惹起すること、また、LL0によるマクロファージからのIL-18産生誘導には、IFN-βに依存したFas-FasLを介するカスパーゼ活性化によるIL-18の成熟が重要であることが明らかとなった。
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