研究課題/領域番号 |
13226045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
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研究分担者 |
川嵜 伸子 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70077676)
上村 和秀 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20303844)
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
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キーワード | 血清マンナン結合タンパク質(MBP) / MBP依存的細胞性細胞傷害作用(MDCC) / 血小板活性化因子(PAF) / 多形核白血球 |
研究概要 |
血清マンナン結合タンパク質(MBP)はマンノース、N-アセチルグルコサミンおよびフコースに特異的に結合する動物レクチンで、レクチン経路を介する補体系の活性化や直接オプソニン作用により異物排除に関わることが明らかにされており、抗体に依存しない先天的生体防御因子である。我々は以前に、担がん動物において、MBPが補体非依存的な機構により抗腫瘍活性を示すことが明らかにしており、この機構としてMBP依存的細胞性細胞傷害作用(MDCC)が想定された。本研究では、MDCCにおける多形核白血球の関与について検討を行った。合成糖鎖リガンド(PV-Man)でコートしたプレートにMBPを結合させることにより、固相化MBPプレートを作成した。このプレートを用いて、多形核白血球をNBTを含む緩衝液中でインキュベートし、多形核白血球の活性化を検討した。なお、NBTは多形核白血球が産生する活性酸素のプローブとして用いた。その結果、固相化MBPにより多形核白血球の凝集および凝集部位における顕著な活性酸素の産生が誘導されることが分かった。このMBPによる多形核白血球の活性化は血小板活性化因子(PAF)アンタゴニストにより部分的に抑制され、Gタンパク共役型受容体シグナリング阻害剤である百日咳毒素によりほぼ完全に抑制された。この結果から、MBPによる多形核白血球の活性化にはPAFおよびGタンパク共役型受容体に結合する未同定のメディエーターが関与することが示された。本研究の結果から、MBPは補体非依存的な機構によって多形核白血球を活性化することが明らかとなり、多形核白血球がMDCCに関与することが示唆された。
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