研究課題/領域番号 |
13226067
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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研究分担者 |
栗栖 源嗣 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (90294131)
有賀 洋子 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60255429)
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キーワード | マラリア原虫 / アピコプラスト / フェレドキシン / レドックス代謝 |
研究概要 |
マラリアゲノムDNA中に、植物根のフェレドキシン(Fd)とその還元酵素であるFNRと相同なORF)が存在することがデータベース検索から明らかになった。アピコプラストが植物のプラスチドと類縁関係にあると一般的に言われているが、エネルギー供給代謝方式の観点からは、植物の非光合成プラスチドと類似しているのではないかと思われ、これらは光合成に直接依存しない還元力の供給系として、NADPH→FNR→Fdへの電子移動に適した構造と機能をもつはずである。マラリアFdをコードするDNA断片を化学合成し、それをすでに植物Fdで確立している大腸菌発現系で発現を試みた。[2Fe-2S]クラスターの酸化還元中心を備えたホロ型Fdとして発現し、可溶性画分に回収された。このFdは菌体外でも安定であり、常法に従い精製が可能であった。収量は1リッター当たり5mg位である。マラリアFdは酸化還元活性を有し、植物FNRとは効率のよい電子伝達機能を持つことを明らかにした。このFdに対する特異抗体を作製し、マラリア原虫の粗抽出液中にこの抗体と反応するポリペプチド鎖の存在を確認した。現在、X線結晶構造解析のための結晶化と構造解析が進行しつつある。また、マラリアFNRについては遺伝子をクローニング中である。これらの結果は、NADPH/FNR/Fdのレドックスカスケードが機能している可能性が強いことを示唆している。今後、植物プラスチド研究のノウハウを活用しながら、蛋白質化学や構造生物学の観点からマラリア細胞のアピコプラストのレッドクス代謝ネットワークを、プラスチド類縁オルガネラとしての一般性と特殊性の両面から明らかにする研究を展開する予定である。
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