研究課題/領域番号 |
13226129
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
西島 正弘 国立感染症研究所, 細胞化学部, 部長 (60072956)
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研究分担者 |
川崎 清史 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (60270641)
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キーワード | Flavolipin / マクロファージ / TNF-α / LPS / TLR4 / MD-2 / タキソール / CD14 |
研究概要 |
アミノ酸含有脂質(lipoaminoacid)は百日咳菌や緑膿菌などのグラム陰性病原菌に存在する膜脂質である。Lipoaminoacidの一種であるFlavolipinは日和見感染菌Flavobacterium meningosepticumの膜脂質成分の20%をしめる主要成分であり、マクロファージを活性化してTNF-α等の炎症性サイトカインを誘導する活性を持つことが知られている。これまでにFlavolipinの活性に必要な構造の決定やFlavolipinによる刺激伝達に関わる分子の同定はされていなかったが、唯一、LPS低応答性変異マウスC3H/HeJ由来マクロファージではFlavolipinによる活性化が見られないことが知られていた。そこで、FlavolipinがTLR4・MD-2複合体のリガンドになるか、検討した。 TLR4マウスpro-B細胞株Ba/F3にTLR4・MD-2複合体を強制発現させると細胞はFlavolipin刺激に応答してNF-κB活性化が起こるようになることから、LPSやタキソールと同様にFlavolipinはTLR4・MD-2複合体のリガンドであることが明らかになった。このNF-κB活性化はCD14に発現によって、さらに増強された。また、Flavolipinには2カ所の光学活性中心が存在する。TLR4・MD-2複合体による刺激認識においてこの立体構造の重要性を調べるため、それぞれについて光学異性体を合成してTLR4・MD-2発現Ba/F3細胞及びマクロファージ様細胞株J774.1に対する光学異性体の刺激効果を比較検討した。その結果、脂肪酸部位中の光学活性中心がR型であることが異物として認識されるために必要であることがわかった。以上の結果から、Flavolipinの刺激伝達にTLR4・MD-2複合体が関与すること、及びFlavolipinの脂肪酸部位の立体配置がR型であることがマクロファージ活性化に重要であることが明らかになった。
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