研究課題
4年計画の最終年次に当たる本年度は、高野山蔵中尊寺経の調査・撮影を最終巻まで終了するとともに、その結果を総合して学術的検討を加え、研究成果をまとめた。研究成果は報告書として刊行する予定である。本年度の調査対象は高野山金剛峯寺蔵の中尊寺金銀一切経のうちの134巻(調書通し番号4170〜4303)であった。これらについて、具体的に以下のような調査を行い、そのデータを収集した。調査は高野山霊宝館で行った。1.表紙・見返絵の図様・法量、紙数などのデータ収集および軸端・紐の検討。2.表紙・見返絵・巻末について、6×12サイズのカラー・モノクロ撮影。3.墨書・墨印等については高解像度赤外線カメラ・システムで常時監視し、認知されたものについては高性能デジタル・カメラにて撮影した。4.調査データを取り終えた経巻について、全巻のマイクロ撮影を行い、その過程で以前見落とした墨書等について赤外線撮影を行なった。調書に記した各巻の調査データすべてをコンピュータに入力し、データの整理・蓄積を図った(ソフトは桐V9を使用)。モノクロ撮影分はキャビネサイズに焼き付け、カラー・フィルムは逐次フォトCDにデジタル画像として記録した。作成した手書き調書は随時スキャナーで画像としても記録し、保存した。