研究概要 |
完治困難な高齢者を対象としたQOL向上をめざしたストレスマネジメント教育の開発技法開発最終年の本年度は、個々の研究班ごとに総括するとともに、総合的な成果として報告書編集をおこなった。 評価系開発班においては、SMSE-20の信頼性、因子的妥当性の検討を行うとともに、自尊感情、状態不安、うつ状態との関連を検討した。また高齢痴呆者を対象としたリラックスセミナの効果判定にも適用を試みた。生理心理指標として、簡易脳波チェッカを用いたストレス評価の予備実験を行うとともに、皮膚温、脈拍計によるストレス反応性評価を高齢痴呆者を対象としたリラックスセミナの効果判定に適用した。また歩行動作解析装置を用いて、人工股関節全置換術患者の歩行解析を行い、またアクチグラフによる動作解析研究を試みた。 がん研究班においては、肺がん患者を対象とし、そのストレスマネジメントを見据えた基礎的な研究として、肺がん患者の外来化学療法への移行に関する意思決定における探索的研究を行った。 痴呆班では、高齢痴呆患者を対象としてリラクセーション指導を継続的に実施し、生体反応を評価指標として研究成果をまとめた。また痴呆リスクを抱える高齢者を対象としてその進行や発症の予防を目的として、運動を用いたストレスマネジメント(アクティベーション)介入を行い、身体機能・行動や情動の鎮静化をはかることによってストレスを緩和させ、痴呆の重度化を遅らせる可能性について検証した。 心臓リハビリテーション班においては、健康関連QOLの長期経過について検討し,SF-36日本語版によって測定される8つの下位尺度は,心筋梗塞発症後1〜6ヵ月にかけて有意に改善し,そのうち5つの下位尺度(身体機能,体の痛み,全体的健康感,活力,心の健康)は,国民標準値に到達していることが明らかになった.また運動療法を主体とした心臓リハビリテーションプログラムへ参加した心筋梗塞患者は,不安の程度は軽減するものの,抑うつに関しては大きな改善が認められないことが明らかになった 難病班では、難病患者を対象として作成したストレスマネジメント教育プログラムの評価を、SMSE-20およびSF-36を角いて分析検討した。 以上のように、各研究班の結果を総合し、身体疾患におよぼすストレスマネジメント教育の効果について、文献的検討も加えた報告書を作成し、広く普及することを願って関係各所に配布した。
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