今年度は3月に、茨城県新治郡玉里村所在の桜塚古墳の測量調査を実施した。現状で直径約40m、高さ約6mであることがわかった。この古墳が純粋の円墳か、帆立貝形古墳であるかは、測量の結果からではわからなかった。調査中には埴輪を多数採集することができた。年代的には、6世紀前半、村内の妙見山古墳(未調査)より若干新しい段階と考えられる。 その他、報告書を完成させるため、古墳築造規格と埴輪の系譜に関する研究を行った。まず、築造規格に関しては、玉里古墳群内の6世紀の前方後円墳は、桃山古墳を除き、相互に、何らかの形で、築造規格の一部共有が見られることがわかってきた。例えば滝台古墳は舟塚古墳よりも前方部が長いけれども、もともとの規格は基本的に同一で、前方部のみ若干延長させた可能性がある。この関連性は、この両古墳で、関東では特異な七条突帯を有する埴輪を樹立していたことからも補強される。 また茨城県石岡市教育委員会およびつくば市筑波大学考古学研究室において、関連する埴輪資料の調査を実施した。まず、教育委員会と筑波大学が所蔵する石岡市舟塚山古墳出土の埴輪は、前年度調査した塚山古墳出土資料と、年代的系譜的に極めて類似していることが判明した。この関係は、築造規格からも追認できそうである。筑波大学考古学研究室では、玉里村内で同研究室がこれまで採集してきた埴輪をすべて実見した。その中には、本研究で対象とできなかった妙見山古墳の資料なども含まれる。この概要報告の冒頭での、桜塚古墳の年代的位置づけは、筑波大学考古学研究室で妙見山古墳出土資料を観察しておいた成果である。
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