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2003 年度 実績報告書

パルミラの葬制とその社会的背景にかかわる総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13301022
研究機関奈良県立橿原考古学研究所

研究代表者

西藤 清秀  奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 課長 (80250372)

研究分担者 石井 香代子  奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (90280841)
豊岡 卓之  奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (00250374)
樋口 隆康  奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
吉村 和昭  奈良県立橿原考古学研究所, 研究企画交流チーム, 主任研究員 (10250375)
キーワードパルミラ / 地下墓 / 碑文 / 彫像 / 人骨 / 副葬品 / 女性 / 化粧用具
研究概要

シリア・パルミラの東南墓地の発掘調査を通して、パルミラがどのような社会・自然環境のもとにどのような葬送観念を育み、どのような造墓活動を行っていたかを追求することであった。今年度は昨年度、新たに発見したH号墓と名付けた地下墓の調査を継続して実施した。この墓は、113年にタイボールが建造し、後に数家族に譲渡したことが門に刻まれた碑文によって判明した。この地下墓は、階段や墓室の一部は石材で組み上げられている。また、墓室内は、ほとんど盗掘が行われておらず、墓が廃棄された時の状態をそのまま残されていた。その中には家族の饗宴場面を表現した彫像付き石棺がコの字に配されたり、被葬者の彫像が壁面にはめ込まれた状態であった。
今年度の調査は墓室内に設けられた各棺棚の調査によってパルミラの葬制の理解を深めることに重きを置いた。その結果、66体の人骨を発掘し、それらは22人の男性、16人の女性、6人の青年、22人の小児からなっている。我々は、21列の棺棚で33の埋葬施設を発掘した。それゆえ、少なくとも1棺に2人以上埋葬される傾向にあることがわかった。また、主室第2区のNLの棺棚のようにほとんど女性だけで占められる場の存在は、この棺棚の上に設けられた石棺の男性中心の埋葬とあいまって性別による棺の選択がおこなわれていたことを示唆するものである。
さらに、北側壁の壁龕下のNL4-0において女性にかかわる多くの品々を検出し、女性と副葬品の関係を考える新たな情報を得た。特に化粧用具として象牙が使用され、死者の生前の持ち物をそのまま棺に納めたと考えられる。パルミラでは死者に多くの副葬品を持たせない習慣が、我々の調査で判ってきている。その中でこのような事象が存在することは、C号墓やF号墓の例から考えるとこの女性を襲った不幸への家族からの悔みが表現されていると考えられる。
今後、さらなる調査によって我々の主題であるパルミラの葬制を理解していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 西藤 清秀: "世界の発掘調査-Syria-"文化遺産の世界. Vol.12. 22-23 (2004)

  • [文献書誌] 西藤 清秀: "パルミラ東南墓地H号墓の調査-2003"西アジア発掘調査報告会集. 第11回. 62-69 (2004)

  • [文献書誌] 西藤 清秀: "パルミラの墓に見るランプと死者について"三笠宮崇仁殿下米寿記念論集. (2004)

  • [文献書誌] 西藤 清秀: "フィールド・ミュージアムとしてのパルミラ遺跡"沙漠研究. 第13号4号. (2004)

  • [文献書誌] Saito, Kiyohide: "New Discovery in Palmyra 2001"The International Conference on Zenobia & Palmyra. (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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