研究課題/領域番号 |
13301025
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
A. Armour 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20202799)
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研究分担者 |
松田 隆美 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50190476)
西村 太良 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90164590)
高宮 利行 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90051804)
樫村 雅章 慶應義塾大学, 斯道文庫, 助手 (00338211)
小沢 慎治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051761)
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キーワード | デジタル・イメージング / William Caxton / 西洋初期印刷本 / デジタル書物学 |
研究概要 |
2002年3月に大英図書館で同館所蔵のキャクストン版『カンタベリー物語』初版(1476)及び第2版(1483)のデジタル化を試みたが、其の画像の適正な処理に関して、共同研究に参加し、大英図書館のホームページのために送付すべき画像データを検討した。同時にそのホームページには、高宮利行による小論、'John Harris the Pen-and-Ink Facsimilist'を寄稿した。また英国デモンフォート大学で進行中のCanterbury Tales on CD-ROMにこれらのデジタル画像データを送るべく、共同研究をし、2003年2月に完成したデータを送付した。(高宮、樫村、アーマー) 上記のような大英図書館所蔵の初期印刷本のデジタル化とその画像の共同利用をふまえて、デジタル画像を活用した比較校合に関して研究を進めた。高精細画像を用いた調査の結果、William Caxtonが使用した活字群に関して、従来存在の知られていなかった活字を発見することが出来た。さらに、全活字の高精細デジタル画像を使ってパターン認識によって個々の活字を検索し、初期印刷本をOCRによって転写するための研究を開始した。初期印刷本では、活字の種類や連字が多いためにOCRによる判読は未だに実用レベルに達していないが、今回の研究はその実現のための貴重な基礎データを提供することとなった。(小沢、樫村) 上記の大英図書館所蔵の資料のデジタル画像化および研究と並行して、比較研究のための資料となる慶應義塾図書館所蔵の15世紀の印刷本および中世後期の写本について、デジタル化をと書誌学的調査を進めた。さらに、初期印刷本および同時代の写本について、高精細デジタル画像のLaTeXによるdiplomatic transcriptionをおこなった。Metafontにより中世写本や初期印刷本固有の特殊文字を生成することで、原資料のレイアウトや活字、書体の差異を正確に反映したトランスクリプションを実現し、さらにそれを、プラットフォームの違いを越えてネットワーク上で公開することが可能となった。(西村、松田) 独自に確立した手法によって作成したWilliam Caxtonを始めとする初期印刷本の高精細デジタル画像を用いて、活字レベルでの比較を含む比較校合の研究および新たな発想に基づいたトランスクリプションを軸としたデジタル・コンテンツの作成を具体的に進めた。
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