研究課題/領域番号 |
13302005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大出 良知 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50115440)
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研究分担者 |
指宿 信 立命館大学, 法学部, 教授 (70211753)
荒木 伸怡 立教大学, 法学部, 教授 (30062665)
浅田 和茂 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70067734)
梅田 豊 島根大学, 法文学部, 教授 (10263500)
上田 信太郎 香川大学, 法学部, 助教授 (50243746)
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キーワード | 刑事事件処理 / 刑事訴追 / 訴追裁量 / 公訴 / 基礎便宜主義 / 起訴猶予 / 起訴 / 不起訴 |
研究概要 |
第2年度における研究では、第1に、第1年度において開始した、国民の訴追関心のありようと訴追過程の現状および問題点についての、理論的側面と実態的側面からの検討をさらに継続してきた。理論的側面の検討では、国内外における訴追過程の研究の到達点と問題点について、数名の研究分担者で構成する個別研究班をテーマ別に設置し、基礎的検討作業を進め、あるべき訴追過程の基本的あり方を探るべく作業を開始した。 第2に、この理論的研究においては、研究分担者以外の実務家の協力も得て、事件処理と訴追判断の妥当性という観点から訴追過程を検証するケース研究も開始しているが、本年度も、いわゆるロザール事件、本庄保険金殺人事件、和歌山カレー事件等々を対象として取り上げ、検討を進めてきた。 第3に、第1年度に引き続き、海外の実情について調査を実施した。具体的には、大陸法圏のフランス及びイタリア、英米法圏のオーストラリアに加え、アジアの台湾及び韓国の調査を行い、所期の目的を達成した。現在、調査結果の分析作業を鋭意進めているが、従前必ずしも十分な情報を入手し得ていなかった国々も対象になっており、有意義な成果を上げ得たと考えている。例えば、イタリアでは、最高裁の判例が主導する捜査手続改革が既に1960年代から進められており、起訴法定主義が極めて厳格に維持されている。そのためもあって無罪率は、50パーセント前後に達しているといわれるが、検察は、その制度の維持に大義があるとの見解を持っている。また、台湾、韓国でも弁護権保障の強化を中軸とする捜査手続改革が進んでおり、韓国では、昨年の10月に最高裁判例が被疑者取調への弁護人の立会を容認したといわれ、事件処理についての検察の認識にも大きな変化を看取することができた。
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