研究課題/領域番号 |
13302006
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 正弥 千葉大学, 法経学部, 教授 (60186773)
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研究分担者 |
黒住 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153411)
山脇 直司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30158323)
足立 幸男 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (10091092)
関谷 昇 千葉大学, 法経学部, 助教授 (00323387)
今田 高俊 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (00107517)
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キーワード | 公共哲学 / 公共性 / 平和 / 福祉 / グローカル / ネットワーク |
研究概要 |
今年度は、公共哲学の包括的研究に関する全体研究会(合計4回)の開催、公共哲学関連のさらなる資料収集とそのデータ・ベース化、論文と著作の発表、HPとMLを通じた諸ネットワーク形成のさらなる拡大を試みた。 第9回公共哲学研究会(2003年11月16日、東京大学駒場キャンパス)は、「フランスの公共哲学・政治哲学」をテーマとし、フランス哲学と政治との関わりを多方面にわたって議論した(報告者:宇野重規、三浦信孝)。第10回公共哲学研究会(2003年12月6日、西千葉キャンパス)は、「オランダの公共哲学と政治」をテーマとし、カイパーを媒介としながら、オランダの政治と宗教について議論を深めた(報告者:稲垣久和、水島治郎、田上雅徳)。第11回公共哲学研究会(2004年1月24日、千葉大学西千葉キャンパス)では「憲法と政治」をテーマとし、主権論、アメリカ政治文化論、平和憲法論を関連させながら、原理と実践の双方にわたって活発に議論した(報告者:関谷昇、越智敏夫、小林正弥)。第12回公共哲学研究会(2004年2月18-19日、西千葉キャンパス)は、「地球公共平和と戦争」をテーマに、千葉大学大学院社会文化科学研究科との共催による国際シンポジウムという形で拡大して行われた。ファシズム研究の第一人者であるリチャード・ボスウォースをはじめ、シルヴィア・ブラウン・浜野、金昌禄、金鳳珍、アンドリュー・デウィット、嶋津格、石田勇治、石田憲、小川有美、水島治郎、福永美和子といった代表的研究者が参加し、日独伊の歴史研究と現代における戦争と平和の問題をクロスさせながら、英語による活発な議論を試みた。 本年度は、公共性に関する資料の徹底した収集を試み、特定の分野にとらわれない形で、幅広く文献や論文を干葉大学に配置することができた。それらをデータ・ベース化するとともに、現在は、研究分担者による緻密な解読と検討がなされているところである。本年度は、特に平和と公共性をめぐる研究が進展し、研究分担者において単著及び共著が相次いで公刊された。昨年始まった『公共哲学叢書』シリーズの刊行も順調に進み、現在第5巻まで公刊されている。現在も、研究成果の公表へ向けて作業が複数進行中である。 ネットワーク形成の方は、研究者レベルに留まっていたものが、HPとMLの活用を通じて、各種NPOや一般市民へと拡大したことが注目される。公共哲学ネットワークは、各種ネットワークのメタネットワークとして、その形成の拠点になりつつある。今後、学問成果の共有や現実問題をめぐる活発な議論が期待される。
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