研究課題/領域番号 |
13303009
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榊原 茂樹 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10030719)
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研究分担者 |
福田 祐一 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (00243147)
藤原 賢哉 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (30229067)
高尾 厚 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20116221)
砂川 伸幸 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90273755)
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キーワード | インデックス・ファンド / 資産運用機関 / 流動性 / 市場効率性 / 転換社債 / 株価長期パフォーマンス / 合理的バブル |
研究概要 |
(本年度における研究成果の概要) 本研究課題では、少子高齢化が家計・企業の消費・投資行動に及ぼす影響について、1)年金・介護市場のメカニズム、2)投資家保護、3)公的部門の役割と資金調達管理、という3つの観点から分析を行うことを目的としているが、本年度は、 1.年金資産の運用対象・高齢者向けの金融商品として注目を浴びつつあるインデックス・ファンドに注目し、インデックス型の資産運用の拡大が、金融市場を通じた資源配分の効率性にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。インデックス・ファンドが金融市場の効率性に及ぼす影響については、1)取引コストの節約や市場流動性の向上等を通じて金融市場の効率性に貢献する、2)個人投資家の非合理的投資行動ないしは投資行動の集中化(システマティック化)を増幅して金融市場を不安定化するという2つの見方が存在するが、本研究では、1)上場投資信託(ETF)におけるファンドの純資産価値と販売価格の乖離、2)インデックス銘柄入れ替えが株価変動に及ぼす影響、という2つの論点から実証的な分析を行った。1)はファンドの保有ポートフォリオとETFとの裁定状況から金融市場の効率性を検証するものであり、2)は銘柄入れ替え時のファンドの株式売買が株価の乱高下を招いているのかについて分析するものである。分析結果は、ETFの純資産価値と販売価格とのシステマティックな乖離、銘柄入れ替え時の株価超過リターン・ファンドおよび保有者の損失、であり、インデックス・ファンドが金融市場の効率性に及ぼす影響については、慎重な評価が必要である。 2.株価のファンダメンタルからの乖離を説明する基礎的な理論として、「合理的バブル」の議論に注目し、個人の消費・投資行動等との関係から、理論的・実証的検討を行った。また、企業の財務行動と株価との関係について、「自社株買い」や「転換社債」の観点から理論的に分析した。これらの手段は、401K等企業年金への組み入れ手段としても注目を集めているが、企業経営者の規律付けの観点からも重要であると考えられる。 (資料収集、データ・ベース整備の状況) 1.個別株式の取引データ(ティック・データ)を購入し、金融市場の流動性やイベント・スタディに関する研究の基礎資料とした。 2.家計の金融行動調査(NEEDS RADAR)を購入し、来年度以降の個人投資行動分析の基礎資料とした。
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