研究課題/領域番号 |
13303009
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榊原 茂樹 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (10030719)
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研究分担者 |
福田 祐一 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (00243147)
藤原 賢哉 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (30229067)
高尾 厚 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (20116221)
砂川 伸幸 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (90273755)
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キーワード | 企業統治 / 自社株買い / 自己資本比率規制 / 負債の再構築 / 破綻処理法制 |
研究概要 |
本年度は、少子高齢化社会における企業と金融機関のガバナンスのあり方について研究を行った。 まず、企業については、近年見られる財務的特徴である、自社株買い、負債の再構築、株式持ち合い解消、について取り上げ、これらの現象が、企業の投資行動や株価、経済全体の資源配分にどの様な影響を与えているかについて理論的・実証的に検討した。得られた結論は次の通りである。1)自社株買いと持ち合い解消は、経営者による株主重視のシグナルであり、効率的な投資が行われることを期待して株価は上昇すると考えられる。2)負債の再構築は破産コストを節約し、企業価値と株価を高める可能性がある。しかし、その程度については、破綻処理方法の違い(法的整理、私的整理)や企業の属性(規模、業種)等によって異なっており、常に、経済効率的な形で企業の破綻処理が行われるかどうかは、実証的な検証がさらに必要である。 次に、金融機関については相互会社である保険金融機関と銀行について検討を行った。まず、保険会社については、保険商品の特殊性(忌避感)を進化経済学の考え方を用いながら検討するとともに、保険会社に対する監督当局の過度な規制が、保険会社のガバナンスに負の効果を及ぼしていることを考察した。また、少子高齢化社会における私保険、公保険の役割についても検討を行った。一方、銀行については、自己資本比率規制と貸出行動との関係について考察した。近年の銀行貸出の低迷については、銀行の自己資本不足に伴うリスク回避行動(貸し渋り)とする見方と、景気低迷に伴う貸出需要の低下とする見方が相対立しており、自己資本比率規制の影響について理論的に整理した。
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