研究分担者 |
谷川 好男 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50109261)
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
浪川 幸彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20022676)
山ノ井 克俊 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (40335295)
内藤 久資 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (40211411)
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研究概要 |
ディオファントス方程式の有理数解や整数解の存在・非存在,存在するとしたらどのくらい存在するかという問題とそれに関連する問題を定量的に論じる数学を,近年ではディオファントス幾何学と呼ぶ.幾何学と呼ぶ理由は,数学の多岐にわたる分野が幾何学的に統合されて初めて理解し得る数学だからである.本基盤研究はディオファントス幾何学における大予想であるVojta予想を解決することを最終目標とするものである.私のアプローチは,正則曲線の値分布論をVojta予想の幾何学モデルと位置づけ,値分布論をディオファントス幾何的現象であるという作業仮説のもと,Vojta予想とその値分布論的アナログである第2主要予想の両方を同時に説明しきる力をもつような幾何学を構築する試みを通じて両予想を根本的に理解しようというものである.本年の発見は以下のようである: (a)両予想にまたがる基本的枠組みとして「多項式線形性」という概念を見つけた. (b)「多項式線形性」の概念によって,カラビヤウ空間や一般型代数多様体の特殊部分多様体が「隠れたディオファントス近似の対象」として特徴づけられる. (c)「多項式線形性」を導入することにより「ジェットの散乱」という困難が生じる. (d)本研究の前の基盤研究において私が発見した「射影的対数微分の補題」は深い解析に由来するものの,値分布論においてどのような働きをするのかよくわからなかった.今回,これが(c)の困難を解決するものであることがわかった. 以上の発見によって予想の解決は「ある種の特異性をもつ積分幾何の正当化する問題」に煮詰まった.しかしこの問題は類似した問題が見つからない,非常に考えづらい問題である.引き続きこの路線で予想解決にせまりたいと思う.
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