研究分担者 |
菊地 文雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40013734)
牛島 照夫 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10012410)
今井 仁司 徳島大学, 工学部, 教授 (80203298)
中尾 充宏 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10136418)
友枝 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60033916)
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研究概要 |
研究代表者の研究実績 温度依存係数を持つ熱対流問題の有限要素スキームの誤差評価について研究を行った.地球物理学におけるマントル対流や硝子製造過程で現れる溶融炉内流れなどの熱対流問題に現れる粘性係数は温度に強く依存している.高温度部分では粘性係数は小さくなり,低温度部分では粘性係数は大きくなる特性がある.現実の熱対流パターンの形成において粘性の温度依存性は大きな影響をもたらす.熱対流現象は,流速が遅いときは無限プラントル数を持つレーリー・ベナール方程式で記述され,流が必ずしも遅くないときは一般のレーリー・ベナール方程式で記述される.これらの方程式は熱の対流項,流速の移流項のために非線形偏微分方程式系になっている.粘性係数等が温度に依存している場合には,その非線形性が増し解析をより困難にしていた.それぞれの方程式で粘性係数,温度拡散係数,熱膨張係数が温度に依存している場にも適用可能な,誤差評価付きの有限要素スキームを作成した.その結果,粘性係数が温度に依存している複雑な熱対流問題が正しく数値シミュレーションできるようになった. 研究分担者の研究実績(抜粋) 1.分担者今井は,無限精度数値計算法の研究を行い,10CPU,20GBのメモリ容量を持つ高性能計算機クラスタを用いた巨大規模の並列数値計算に成功した.1次元の境界値問題では,メモリ使用量が18GBにもなる巨大規模の並列計算を実行し,誤差が1.46×10^{-4995}という超高精度の数値計算に成功した.このような大規模無限精度シミュレーションの超高精度性を逆問題の直接数値シミュレーションに適用し,逆問題の数値解析を可能にした. 2.分担者牛島は,3次元一定水深水域における柱状障碍物外部の線形水の波問題の時間方向周期解を求める問題について研究した.元の問題を2次元外部帰着波動問題に変換し,この問題の基本解近似問題の誤差評価と数値計算上の問題点を調べた.波源点と拘束点を円周上に等間隔同位相に配置した場合の選点法による近似手法について,ディリクレ境界値問題の場合は誤差が波源点の数に対して指数的に減少することを示した.柱状障害物が円柱の場合に,この手法にしたがって,散乱現象の数値シミュレーションを実施した.
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