研究課題/領域番号 |
13304015
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
松尾 宏 国立天文台, 天文機器開発実験センター, 助教授 (90192749)
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研究分担者 |
江澤 元 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (60321585)
久野 成夫 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (30311179)
野口 卓 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90237826)
服部 誠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90281964)
清水 裕彦 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 室長 (50249900)
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キーワード | サブミリ波 / 天文学 / 超伝導体 / トンネル接合 / 検出器 / 2次元アレイ / 極低温技術 / 電流ノイズ |
研究概要 |
理化学研究所の超伝導薄膜製造設備を用いて、超伝導ニオブのトンネル接合を作製した。接合サイズが10ミクロン以上のものでは特性のよいものが得られたが、サイズが小さくなるに従いリーク電流が増えることが判明した。そこで、接合外周部でのリークが問題であると予想されたため、プラズマ酸化プロセスから陽極酸化プロセスに変更することで接合サイズによらずリーク特性のよいものが作製可能となった。 これまでの製造プロセスでは接合サイズとしては目標の2ミクロン接合では特性のよいものが得られず、微小接合作製方法の見なおしを行なった。一方で、3-4ミクロンサイズの接合を用いて接合を12個並列接合したDistributed Junction(DJ)の作製を行ない、リーク電流の評価を行なった。この結果、接合サイズ3ミクロン以上では、1接合あたりのリーク電流が10pAとなり、目標とする低電流リーク特性が実現した。DJ内の全接合に対して均一な外部磁場(数100ガウス)を印加することで、安定なバイアス電圧をかけることができることも確認された。 対数周期型アンテナ(ログペリアンテナ)とDJを用いてサブミリ波に感度を持つ検出素子を作製し、その電気特性を評価した。これについても低リーク電流が実現された。2次元アレイとしては、9素子のアレイを構成し、そのすべての素子で同等の電気特性が実現している。フーリエ干渉計を用いたサブミリ波帯での感度特性の評価を行なっている。 一方で、チリに設置した口径10mサブミリ波望遠鏡(ASTE : Atacama Submillimeter Telescope Experimemt)に搭載する3色ボロメータを製作した。3つの波長帯(350、450、850ミクロン)で観測を行うことができ、ASTEアンテナの評価に用いることのできるボロメータである。ボロメータを冷却するクライオスタットは、機械式の4K冷凍機とHe3冷凍器により、液体冷媒を消費することなく0.3Kを実現できるシステムとした。なお、このクライオスタットはサブミリ波カメラを搭載することができる仕様とした。
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