研究課題/領域番号 |
13304015
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
松尾 宏 国立天文台, 天文機器開発実験センター, 助教授 (90192749)
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研究分担者 |
江澤 元 国立天文学, 電波天文学研究系, 助手 (60321585)
久野 成夫 国立天文学, 電波天文学研究系, 助手 (30311179)
野口 卓 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90237826)
服部 誠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90281964)
清水 裕彦 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 室長 (50249900)
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キーワード | サブミリ波天文学 / 連続波観測 / 直接検出器 / 超伝導ニオブ / ボロメータ / 2次元アレイ / 冷却技術 / データ解析 |
研究概要 |
SISフォトン検出器の実用化に向けた検出素子の設計、製作および評価を進めた。検出器の設計手法について、並列多接合を用いたサブミリ波入力に対するマッチングを最適化するための手法を確立した。電流密度1kA/cm^2の場合、6つの接合を用いたマッチング回路が最適であることを示し、650GHz帯検出器の設計に対する準解析的検証を行った。 多素子アレイ製作のために検出器の製作プロセスを改良し、検出素子の歩留まりを向上させた。その結果、単一素子で98%、接合を12個用いる検出素子としても78%の歩留まりが達成した。 光学特性の評価は、対数周期型アンテナとサファイア超半球レンズを検出器に組み合わせ、波長感度特性、検出効率、ビーム形状、時定数、ダイナミックレンジを測定した。波長感度特性は検出素子サイズによる遷移し、並列接合による感度ピーク波長が設計と一致すると確認された。検出効率については約20%の値が得られ、十分実用に耐える検出効率であることが示された。ノイズ特性の評価により、検出素子の雑音がリーク電流のショット雑音で説明できることが示された。以上の測定結果を総合することで、NEPとして10^<-16>W/√Hzが得られた。 0.3K動作のサブミリ波帯ボロメータの性能と比較し、SISフォトン検出器の優位性を明確に示した。動作温度、NEP、ダイナミックレンジ、動作速度の点でSISフォトン検出器はボロメータの性能を超えている。また、SISフォトン検出器は量子型検出器であるためボロメータより安定な動作が得られる。 3色ボロメータシステムについては、ASTE望遠鏡に再搭載しアンテナの評価および試験観測を行った。惑星を用いたアンテナポインティングの測定、アンテナ効率、ビームパターンの測定などを進め、分子雲などの観測でサブレフチョッピング機構を用いた観測手法を確立した。画像解析については、チョッピングによる差分信号からの画像復元を行い、オリオン分子雲などの画像で解析手法の信頼性について評価した。 ASTE搭載連続波観測装置の冷却システムは3色ボロメータの冷却装置として安定に動作し、日本からの冷却オペレーションによる観測運用が実現した。
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