研究概要 |
平成13年度は,高エネルギー加速器研究機構のBファクトリーを用いてBelle実験において,「B中間子系におけるCP非保存の発見」がなされた記念すべき年度である.我々のグループは,我々が建設しオペレートした半導体検出器からのデータを解析し,B中間子崩壊の時間発展を測定した.この測定が,CP非保存の発見に直接結びついた.同時に,チャーム中間子とB中間子の寿命の精密測定も完了させ論文を完成させた.どちらの測定精度も現在,世界最高である.これらの結果は,当研究室の3名の博士論文としてもまとめられた.これらの解析には,当補助金により増強したマルチCPU-PCサーバがフルに使われた.また,超対称性粒子の存在を確認する手がかりとなるB中間子崩壊の探索およびその運動学的物理量の測定についてシミュレーション等を用いて準備を開始した.我々は,当研究のもう一つの目標である短いストリップを用いた第2世代半導体検出器の建設を開始した.また,これまでのR&D(放射線耐性の高い読み出しICの開発など)の結果を(レフェリー付き学術雑誌に)論文として公表した.ビームに最も近い点(ビーム衝突点より約1.5cm)に設置される第1層の検出器については,ビームによる放射線バックグランドからの保護の検討が進んでいる.が,平成14年度は,ビーム衝突点から約2cmに位置する第2層をまず設置することとし,大電流ビームによるバックグランド下での経験を積み,その後に第1層を設置する予定である.研究は,予定通り進行していると結論できる.
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