この研究の主な目的はK_L→π^0υυの崩壌比の測定することである。この崩壊に対する、主なバックグラウンドはK_L→π^0π^0のうち2つのガンマ線を見失う場合である。その中でも、検出器内での光核反応によってガンマ線を見失ってしまう確率を調べるために、Spring8て実験を行った。その結果、1.5〜2.4GeVのガンマ線に対して、10MeVの光子相当以上のエネルギーを測定器に落とすことを要求すると、そのガンマ線が観測にかからない率は、CsIの場合(2.93±O.89^<+1・15>_<-0.44>x10^<-7>であった。また、1mmの鉛と5mmのシンチレータを積層した測定器の場合の率は、(8.3±1.7^<+13・5>_<-1.2>)x10^<-7>であった。CsIの結果は1GeVのガンマ線に対する結果よりも小さく、高いエネルギーで実験を行うことの有利さが示された。 また、Fermilabの120GeVのMain Injectorを用いてK_L→π^0υυ^-を百事象集める実験を提案したが、これは却下された。そのため、まずは2003年から10^<-10>の感度でこの崩壌を探索するKEKのE391a実験に参加した。そして、2001年の終わりにこの実験のビームラインにおいて、K_Lのエネルギー分布とレートを測定する実験を行った。現在、本番実験に向けて準備を進めている。また、現在東海村で建設が進んでいる50Geの大強度陽子加速器を用いてK_L→π^0υυ^-を数百事象観測する実験の検討を始めた。 その他、FermilabのKTeV実験のデータを解析し、数々の稀な崩壊に対する結果を出した。また、1996-7年の全データから、CP非保存のパラメータRe(ε'/ε)=(20.7土2.8)x10-4と言う結果を出し、CPの破れを説明してきたSuper Weak Modelを完全に否定した。これにより、標準理論がさらに確からしくなった。
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