K_L→π^oννは、CP非保存のパラメータを、精度よく直接測定するために最適な崩壊である。 まず、この崩壊を観測するための基礎となる実験(KEK E391a)を準備し、2004年2月から実験を開始した。この実験はこの崩壊に最適化した世界初の実験であり、1/10事象観測できる感度を持つ。 また、現在建設中のJ-Parcの50GeVの陽子加速器を用いるKL→πoννの実験の検討を、モンテカルロシミュレーションを用いて行った。この結果、崩壊領域の下流だけではなく、横も含めた全体を電磁カロリメータで覆うと、崩壊の収量が約4倍になること、また、2つの光子の到達時間差を用いると、バックグラウンドも抑えられることがわかった。これにより、加速器の設計の1/10の陽子強度でも、約150事象の崩壊を観測でき、CP非保存のパラメータを約6%の統計精度で求められることがわかった。 さらに、バックグラウンドを抑えるには、ガンマ線の方向を測ることが、一つの有効な手段である。そこで、鉛とシンチレータの積層構造において、電磁シャワーの傾きを測定できる電磁カロリメータを作成し、SPring8で1.5〜2.8GeVのガンマ線を当て、試験を行った。この結果、約9度/Sqrt(E(GeV))の角度分解能が得られることがわかった。これは、今後さらに光量の増加、および読み出し方法の改善などを行う。 また、ファイバーからの光を通常よりも効率よく光電面にあてるライトガイドを制作した。これにより、直接ファイバーを光電子増倍管に当てるよりも、約1.8倍の光電子数を得る事ができた。 さらに、Fermilabで行ったKTeV実験の解析により、ε'/εをはじめとするCP非保存のパラメータの測定結果を出し、直接的CPの破れの存在を確立した。
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