研究分担者 |
有田 亮太郎 東京大学, 理学系研究科, 助手 (80332592)
青木 秀夫 東京大学, 理学系研究科, 教授 (50114351)
音 賢一 千葉大学, 理学部, 助教授 (30263198)
荒木 新吾 大阪大学, 理学研究科, 助手 (90362615)
中野 岳仁 大阪大学, 理学研究科, 助手 (50362611)
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研究概要 |
多孔質結晶のゼオライトのナノ空間にアルカリ金属を吸蔵させると互いに相互作用を及ぼしあうクラスターを配列させることができる.このうち,Kクラスターが単純立方構造で配列した系における強磁性について,より詳しいμSR測定を行い,弱い縦磁場で初期アシンメトリーが顕著に回復する現象と,常磁性温度域における緩和の縦磁場依存性を詳細に調べることができた.得られた結果は,Kクラスターのs電子とフェルミ接触相互作用をもつ8員環ミュオンサイト,および,直接接触しない2重4員環内のミュオンサイトを仮定することによって,全て矛盾無く説明することができた.μSRの解析から得られる磁場の大きさとダイナミクスは,s=1/2の立方対称反強磁性配列スピンがキャントするモデルでほぼ定量的に説明できることがわかった.また,50Tまでの超強磁場を印加することによって,クラスターの磁気モーメントがある磁場以上で突然増加し始め,s=1/2で期待される値を超える現象が,再現性良く観測された.これまでの研究により,クラスターの1p量子準位の軌道縮退によってスピン軌道相互作用が増大すると考えているが,この実験結果は,強磁場下でスピン軌道クロスオーバーが起こり磁気モーメントが増大するためと考えた.一方,単純立方構造で配列したKクラスターについて,第一原理計算によるバンド計算を行ったところ,これまで考えられてきた局在関数による近似モデルをほぼ再現するバンド分散が得られ,この系は強相関電子系であることが示された.また,超微細加工によって量子ホール系にサイドゲートを設けて静電ポテンシャルを制御し,また,キャパシタンス測定の極細電極を設け,エッジ状態の空間分布を詳細に調べた.
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