地殻深部での岩石の変形に及ぼす超臨界流体の影響について研究する基礎として、本年度は以下のことを行った。 1.超臨界流体発生装置を購入した。本格的実験は来年度に行う予定である。本年度は予察的に石英の点接触変形部に0.1規定のフッ化水素水溶液を作用させ、溶脱の程度を原子間力顕微鏡を用いて調べた。その結果、点接触変形部だけが溶脱を起こしており、点接触変形を受けていない部分はほとんど溶脱していなかった。 2.岩石の不均質性を点接触変形の仕方で調べられるかどうかを検討した。点接触変形を受けた場合に生じる圧痕の深さは、超微小硬度計では正確に計れないことがわかった。正確に計るためには、原子間力顕微鏡が必要であることがわかった。 3.一つの岩石内に生じている力学的不均質性を点接触変形による圧痕の深さで読みとる方法を検討中である。この方法では、10ミクロン四方で一つデータが出せることがわかった。不均質性についてはまだ、明確に示せる段階ではないが、ノルウェーのカレドニア造山帯に産する変形礫岩について検討した結果、一つの岩石の中に、ビッカース硬度についての不均質が存在することがわかった。その不均質性は変形が進行すると硬度の平均値は高くなった。 4.超音波顕微鏡を予察的に使用し、その能力について検討した。現状では、岩石・鉱物を調べるための適正な周波数が判明していない。通常の半導体などを調べる周波数よりも高い必要がありそうだ。
|