超臨界水発生装置のセットアップを行い、温度550℃、圧力40MPa間での状態の水を安定的に作り出せることを確認した。 超微小硬度計で点接触変形をさせた単結晶石英試料を超臨界水発生装の圧力容器の中で圧力40メガパスカルまで、温度500℃までの範囲で溶解実験を行った。その結果、超臨界状態の水の中では約1時間ほどで、原子間力顕微鏡ではっきり検出できる程度に溶解が起こっていることがわかった。溶解は、高い圧力で激しく起こる傾向があり、温度よりも圧力の方が重要なパラメータであろうという感触を持った。 超臨界状態になる直前の亜臨界状態の水でも、石英を溶解することが出きることがわかった。超臨界と亜臨界でどのくらいの差があるのかについては、まだ検討中である。 同様の実験を石英ガラスを試料として行った。同じ条件の石英試料に比べると、圧倒的に溶解しやすいことがわかった。 これらの実験結果から、高エネルギー核廃棄物の地層処分に対して次の2つの提言ができる。 1)地層処分の深さは、600メートルを超えない方がよい。これ以上の深さになると、圧力が超臨界条件を満足してしまうので、万が一核廃棄物の温度が370℃を越えるようなことになれば、その周りに自動的に超臨界状態の水ができてしまい、岩石は著しく溶解されるだろう。 2)核廃棄物をガラス固化体に閉じこめる計画は、結晶質固化体に閉じこめる方向で考え直した方がよい。結晶質固化体を作るテクニックや費用についてのリスクを考えても、結晶質固化体の安心度には代え難い。
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