研究課題/領域番号 |
13304040
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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研究分担者 |
山本 正伸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (60332475)
長尾 誠也 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20343014)
岡田 尚武 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111334)
成田 尚史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50250501)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (70332476)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 鹿島沖 / 酸素・炭素同位体比 / 古海洋環境 / 氷期・間氷期 / 粒度・鉱物組成 / 微化石 / 古水温 / 陸上気候 |
研究概要 |
本研究は、日本列島東岸の鹿島沖の水深2,200mから採取されたIMAGES海底コア(MD01-2421、長さ45.6m)を、班員のそれぞれの専門を生かして過去2回の氷期・間氷期を含む14万年間について、気候変化に伴う黒潮と親潮の消長、それによる海洋表層の水温・塩分の変化、生物生産量や海底環境の変化、供給された陸源物質の量的・質的変化などを総合的に解析し、氷床コアや陸上コアに見られる環境変化と結び付けられる程度に、当海域の海洋環境変化を高分解能で復元することを目的として研究が行われた。その結果、過去の全球的な気候変化に応じて黒潮と親潮の南北移動が起こっており,最終氷期やその前の氷期には、現在の釧路沖あるいは根室沖と同様な親潮が鹿島沖まで南下していた。その結果,有孔虫の酸素同位体比やMg/Caから推定される表層水温は現在よりも12〜13℃低下していた。しかし、アルケノンによる古水温推定や微化石による水塊移動とはそれぞれ微妙に異なっている。また、アルケノンによる古水温には2.3万年の歳差運動周期が認められる。酸素同位体比からの古水温や放散虫の群集組成には、グリーンランド氷床コアのDansgaard-Oeschgerサイクルが認められ、それは海流系の南北移動で引き起こされた。花粉分析の結果は、過去14万年間に寒冷・乾燥気候(亜高山帯針葉樹林)〜温暖気候(温〜冷温帯広葉樹林)〜冷涼・多雨気候(スギ・コウヤマキ優占林)の変動サイクルが4回繰り返し生じたことが明らかになった。その時期は、MIS 6〜5e、5d〜5b前半、5b後半〜4前半、3後半〜1であったが、海洋環境の変遷よりも2〜3千年早く起こっている。また、花粉分析から湿潤と考えられる時期に砕屑物質の供給量が増加している。さらに、オパール量は氷期に少なくその原因として海氷の発達や表層塩分の低下などが考えられる.また、底生有孔虫群集から氷期には北大西洋深層水の形成が弱く,その結果も鹿島沖における氷期の生物生産量の低下に関連していた可能性がある。
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