研究概要 |
Phase A,Mg_7Si_2H_6O_<14>は地球のマントルの遷移帯に安定領域をもつと考えられている含水相であるが,本研究では1000℃,10GPaで合成されたphase A, Mg_7Si_2H_6O_<14>の構造を9.4GPaまでの圧力下で放射光を用いた高圧下単結晶X線法で測定し,O-H--O距離の圧力依存性を調べた.水素結合に関わるO-H--O距離は圧力とともに減少するが,O-H--O距離の圧力変化がphase AとBrucite, Mg(OD)_2でほぼ同じトレンドを示すことがわかった. Hydrous ringwoodite,_Y-Mg_<1.97>SiH_<0.03>O_4は地球の上部マントルの下部(深さ520km-670km)に安定領域をもつと考えられている含水相である.これまでringwoodite, Mg_2SiO_4構造中には最近の研究によって2.7wt%に達するH_2Oを含み得ることが明らかになっている.本研究では1680℃,22GPaで合成されたMg_<1.97>SiH_<0.03>O_4の組成のhydrous ringwooditeについて7.9GPaまでの圧力下で放射光を用いた高圧下単結晶X線法でX線回折強度の測定を行った.得られた格子定数の圧力依存性から体積弾性率を計算すると,無水のringwooditeに比べ密度が約0.5%小さいにもかかわらず,体積弾性率に有意な差は認められない. Topaz,Al_2SiO_4(OH,F)_2は地球の上部マントルにおけるAl含む重要な含水鉱物であるが,900℃までの高温下粉末X線法による結晶構造の解析,6.2GPaまでの高圧下単結晶X線法による結晶構造の解析,1000℃までの高温下での赤外吸収スペクトル測定,30.4GPaまでの高圧下での赤外吸収スペクトル測定を行い,OHの配向の温度変化と結晶構造との関係を明らかにした.
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