研究課題/領域番号 |
13304051
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大坪 徹夫 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80029884)
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研究分担者 |
瀧宮 和男 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40263735)
安蘇 芳雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60151065)
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キーワード | ナノスケール分子 / 分子ワイヤー / 分子素子 / 有機太陽電池 / 光電変換素子 |
研究概要 |
ナノスケールサイズの単一成分共役分子やそのような分子を組み込んだ分子素子の構築は、将来の単一分子エレクトロニクスの開発に繋がるものとして興味がもたれている。このような未来開拓分野への有機合成の立場からの挑戦は重要になりつつある.本研究では、電子やエネルギーの流れを自由に制御できる分子ワイヤーの開発を目指して、基盤となるナノ分子の合成研究を行っている。本年度の特筆した成果の一つとして、96量体までの一連のオリゴチオフェンの合成に成功したことである。オリゴチオフェン96量体は37.2nmの鎖長を有し、単一成分共役分子として最も長いのものである。驚いたことには、オリゴチオフェン系の電子遷移スペクトルの研究で有効共役長が96量体まで及んでいることを見いだしたことである。これはオリゴチオフェンが分子ワイヤーとして有望であることを示している。また、オリゴチオフェン-ジアセチレンを交互連結した共役体では40nmの鎖長を有する単一分子の合成にも成功したことが特筆される。このような長鎖分子の登場は単一分子エレクトロニクスの実現のための大きな一歩となるとみなされる。本研究では、さらにオリゴチオフェンの官能化に取り組み、オリゴチオフェン-フラーレン二元系が高効率な光電子移動を起こす系であることを見いだしたことである。この二元分子の応用として、有機光電変換素子(太陽電池)に組み込みことを考案した。オリゴチオフェンの鎖長が長くなると発生する光電流が大きくなり、長鎖系では0.4%に達する光電変換効率を生じることを見いだした。この値は有機太陽電池として比較的おおきなもので、二元分子が有望な系であることを意味する。
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