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2003 年度 実績報告書

分子磁性体における双安定性の発現とその展開

研究課題

研究課題/領域番号 13304054
研究機関名古屋大学

研究代表者

阿波賀 邦夫  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10202772)

研究分担者 和田 信雄  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90142687)
藤田 渉  名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (50292719)
キーワード双安定性 / 分子磁性体
研究概要

磁性素材とは無縁のものと思われていた有機物質に強磁性的性質を付加しようとする分子磁性研究が、我が国で独創的な進歩を遂げた。このような静的な強磁性を追い求めた研究が一段落した今、分子磁性体の最大の特長である動的特性を突詰め、次世代の分子メモリーやスイッチへの展開を模索すべき段階に到達している。本研究では、ひとつの分子磁性体上に、磁気的性質が異なるふたつの安定状態をつくりだし、この双安定状態間の遷移を制御する方法論を探索した。
本研究では、強い分子間相互作用と多次元的な結晶構造を有する環状チオアミル(SN)ラジカルの磁性と構造、光物性を検討した。これまでの研究により、TTTAと呼ばれる誘導体が、常磁性高温相と反磁性低温相の間で相転移し、しかも室温を含む大きなヒステリシスループをもつことを発見している。室温で両相を安定に単離することができ、磁気的双安定性をもつ。本研究では、470nmのパルスレーザー光照射によって、室温で低温相から高温相への相転移が誘起されることを見出した。パルスレーザーではなくCWレーザーにより照射実験を行ったところ、相転移を誘起することはできなかった。励起光の強度依存性を測定したところ、相転移を誘起するために閾値が存在することが分かった。これらは、観測された転移が熱的なものでなく、光誘起相転移であることを支持している。このような光誘起相転移は、遷移金属錯体などにおいて観測例はあるものの、TTTAのような有機ラジカル結晶で見出されたのはこれが初めてである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Goto, T.Koshiba, T.Kubo, K.Awaga: "Transverse and longitudinal relaxations of Mn-55 in the molecular cluster magnet Mn_<12>O_<12>(CH_3COO)_<16>(H_2O)_4"Phys.Rev.B. 67. 104408 (2003)

  • [文献書誌] Y.Suzuki, K.Takeda, K.Awaga: "Enhancement of Jahn-Teller isomerism in Mn12Ac under high quasi-hydrostatic pressure"Phys.Rev.B. 67. 132402 (2003)

  • [文献書誌] H.Matsuzaki, W.Fujita, K.Awaga, H.Okamoto: "Photoinduced phase transition in an organic radical crystal with room-temperature optical and magnetic bistability"Phys.Rev.Lett. 91. 017403 (2003)

  • [文献書誌] M.Fujimori, Y.Suzuki, H.Yoshikawa, K.Awaga: "Packing Motifs in Porphyrazine Macrocycles Carrying Peripherally-Annulated Thiadiazole Rings : Crystal Growths of Metal-Free and Cobalt Tetrakis(1,2,5-thiadiazole)porphyrazines"Angew.Chem.Int.Ed.. 42. 5780-5786 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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