研究分担者 |
余 澤中 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員
久保田 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30261605)
安藤 康夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60250726)
鈴木 義茂 産業技術総合研究所, エレクトロニクス部門, 主任研究員
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研究概要 |
1.ナノサイズ強磁性トンネル接合素子の作製と構造解析 電子線リソグラフィを用いて最小50nm×50nmのドット状の強磁性トンネル接合を作製した.また,コンタクトホール,リード電極の作製を行わずに,伝導性AFMを用いて伝導特性を測定する新しい方法を開発した.100nm以上の接合ではS/N比が良く,多数回の磁界のスイープに対して再現性のよい磁気抵抗曲線を得た.一方,サイズの小さい接合ではループが正磁界側にシフトし,形状も左右非対称になった.これらはそれぞれ,フリー層-ピン層間の静磁気的結合,および,エッジ付近のドメイン構造の不均一性によると結論した. 2.サブナノ秒パルス磁界応答測定システムの構築 強磁性トンネル接合にサブナノ秒のパルス磁界を印加し,強磁性電極の磁化反転に伴うトンネル電流の応答信号を測定する装置を製作した.測定システムはパルスジェネレータ,高速オシロスコープ,高帯域プローブにより構成した.伝送系のインピーダンス整合をとるために,接合からの電極およびパルス磁界印加用のコプレーナ線路を電子線リソグラフィを用いて加工した.これを用いて,印加磁界の立ち上がり時間が550ps,このパルス磁界によるトンネル接合の磁化反転時間6nsを観測することに成功した.また,さらに短い時間の磁化の動的運動を測定するために,極短パルスレーザを用いた磁気カー効果測定システムを設計した. 3.強磁性電極からのスピン波伝搬 Cu/FeNi/Cu/Pt積層膜の強磁性共鳴スペクトル測定した.共鳴線幅は中間Cu層厚の減少とともに増大した.スペクトルの線幅は,強磁性体のスピン緩和項と界面の構造に起因する項より表されると仮定してフィッティングを行い,Cu層厚減少に伴う線幅の増大はFeNi層で励起されたスピン波がCu層内に注入,伝搬し,対面のPt層との界面で緩和することに起因すると結論した.
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