研究分担者 |
佐藤 一雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30262851)
坂井田 喜久 静岡大学, 工学部, 助教授 (10334955)
秋庭 義明 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00212431)
木村 英彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60345923)
來海 博央 名城大学, 理工学部, 講師 (30324453)
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研究概要 |
1.結晶粒径が非常に小さくなった超微細粒鋼における疲労微小き裂の発生過程の原子間力顕微鏡,走査型電子顕微鏡,後方電子線回折法,X線法の3方法をハイブリッドした手法による微小疲労き裂の発生過程の微視的観察を基に,超微細粒でのき裂発生にいたるすべり変形の挙動は,通常粒鋼とは異なり,複雑な3種の交差すべりの複合して作用しその結果として粒界き裂発生にいたることが明らかとなった。 2.疲労初期における微小き裂の進展に対して,超微細粒鋼ではき裂の偏向あるいは分岐によりき裂進展速度の低下が引き起こされていることが明らかとなった。微視き裂の分岐は2種類のパターンで生じ,主き裂が停留した後分岐するものと,分岐したき裂が同時に進展していくものである。微視分岐は結晶粒内と粒界の半々であり,その結晶学的条件を検討した。 3.超微細粒鋼はき裂の分岐と屈曲によりき裂進展抵抗が大きくなる。この場合き裂閉口を測定し有効応力拡大係数で整理すると,通常粒鋼の場合のき裂進展速度とほぼ一致したことから,き裂分岐・屈曲によるき裂閉口が支点抵抗の増大の主な要因である。 4.微小疲労き裂の進展および停留に対する結晶粒界などの微視構造の影響を阻止すべり帯でモデル化したが,このマイクロマカニックスモデルにき裂閉口の影響を組み入れ,発展させたることから,超微細粒のき裂進展のシュミュレーションを行い,疲労限度における微視き裂の停留の要因として,微視的障害およびき裂閉口の相対的な重要性が明らかにした。 5.放射光における超強力X線を使用して,微小領域の応力測定を行い,入射角-定法による侵入深さ-定法による応力分布の高精度測定法を開発した。 6.破断繰返し数がギガサイクルとなる超長寿命領域での疲労過程では,試験片内部で介在物墓発生した数十ミクロン程度の寸法の微小疲労き裂の進展によって大部分の寿命が費やされる。この進展法則をS-N曲線から求める破壊力学的手法を提案し,X線で測定される残留応力などの表面加工の効果,負荷応力形式の影響を予測する手法を提案した。
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