研究概要 |
本研究は,微小世界での加工性や組立性と加工対象部品の機能とを考慮して,微小部品の合理的な設計法と加工工程設計法を展開し,これに基づいて複数種の加工法を首尾よく微細立体構造創成に適用する手法を提案するものである。このような発想のもと,広範な材料に適用可能で,かつ,互いに加工可能寸法領域が異なる2種類のエネルギービーム加工を選び併用することによって,広いスケールレンジを有する微細立体構造を迅速に創成することを目的としている。本年度は、まず、昨年度検討したウォータジェットおよび集束イオンビームによる加工結果を検討した結果、効率よく加工するためにはウォータジェットによる微細加工化をもう一段進めることの必要性がわかった。そこで、1μm以下の砥粒をも利用可能な新しい加工法を提案し・その加工機構と性能について検討し、その有効性を確認した。これらの結果を踏まえ、具体的な加工対象として、(1)軸受用円筒ころの端部形状創成、(2)人工股関節用骨頭部の超精密加工、(3)ほう珪酸ガラスへのラボオンチップ用微細溝創成、(4)光の導波路形成のための微細溝創成、(5)原子トラップ用微細電極創成を取り上げた。それぞれの機能、要求される加工精度、形状精度を整理し、適切な加工方法を検討し、実際に各形状・構造を創成した。本研究では、ウォータジェットと集束イオンビームの二つの加工の複合化手法を提案しているが、その限界についても考察した上で、単結晶ダイヤモンド加工、UVレーザ加工、並びに半導体製造プロセスの加工特性についてもこれまでの研究代表者、研究分担者の研究成果を合わせて検討し、総合的に考察を行い、広スケールレンジ微細立体構造創成についての指針を提示した。
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