研究概要 |
本研究は,微小世界での加工性や組立性と加工対象部品の機能とを考慮して,微小部品の合理的な設計法と加工工程設計法を検討した。重要なことは、広範な材料に適用可能で,かつ,互いに加工可能寸法領域が異なる、実現可能な加工精度が異なる、あるいは実現可能な形状精度が異なる加工法を取り上げ、加工対象部品の要求機能を満たすために必要な加工法の組み合わせを検討することである。加工法の組合せは多様であるが、本研究では、ウォータジェット加工技術を中核においた。これは、水圧や砥粒粒度の選び方によって切断加工から研磨加工まで多様な加工形態が実現できることによる。また、広範囲な寸法及び精度をウォータジェット加工が実現できることが明らかになったためである。後者については、本研究において、1μm以下の砥粒をも利用可能なウォータジェット加工法を新たに提案したものである。本研究では、ウォータジェットと集束イオンビームの二つの加工の複合化を目指した。しかしながらそれら加工法の限界について考察をした上で、他の加工法との組合せも検討した。具体的には、単結晶ダイヤモンドを用いた切削加工、紫外線レーザ加工、並びに半導体製造プロセスの加工特性を考慮に入れて形状創成の検討を行った。具体的に、これらの結果を踏まえ、具体的な加工対象として、(1)軸受用円筒ころの端部形状創成(端部丸み半径1mm)、(2)人工股関節用骨頭部の超精密加工(表面粗さ7nmRa)、(3)ガラスへの微細溝創成(深さ10μm)、(4)原子トラップ用微細電極創成を取り上げた。それぞれの機能、要求される加工精度、形状精度を整理し、適切な加工方法を検討し、実際に各形状・構造を創成した。
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