研究課題/領域番号 |
13305025
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 智 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00101999)
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研究分担者 |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00221812)
黒田 忠広 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50327681)
桑野 博 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051525)
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キーワード | 量子コンピューティング / シリコン / スピンフリーシリコン / 同位体組成制御 / ^<31>P核スピン / 核磁気共鳴 / 単原子層ドーピング / 量子ダイナミックス |
研究概要 |
固体量子コンピュータの数多い提案の中で、シリコン量子コンピュータは比較的現実的なアイディアとして注目されている。基本的な考えは、Si基板内に20nm程度の極微小間隔で^<31>Pを並べ、^<31>P核スピンをキュービットとして用い、上部電極の電圧により核磁気共鳴周波数を制御し、演算を実現しようとするものである。このときキュービットである^<31>P核スピンは、他原子のスピンからの干渉を受けないことが必須であるので、母材Siはスピンフリーでなければならない。ところが、天然Siには、3つの同位体^<28>Si、^<29>Si、^<30>Siが存在し、^<28>Siと^<30>Siはスピンゼロであるが、^<29>Siはスピンゼロではない。このため、ほぼ100%の^<28>Siあるいは^<30>Siの作成が必要である。本研究の目的は、その第1歩として、スピンフリーSiを作成することである。その結果、高純度の^<30>SiH_4原料ガスを用い、超高真空ガスソースMBE装置により、世界で始めて^<30>Siのエピタキシャル成長に成功した。結晶性については、RHEED(反射高エネルギー電子回折装置)によりその場で良好な単結晶性を確認した。また、それぞれの同位体組成の分析は、SIMS(2次イオン質量分析装置)を用いて評価した。その結果、^<30>Siの成分は、99.88%であり、ほぼ100%の値を達成した。また、今後^<30>Siの埋めこみ構造も必要となるが、連続エピタキシャル成長により天然Si/^<30>Si/天然Si構造を作成し、SIMS分析を'行い同位体分離がほぼ完全であることを確認した。さらに^<28>Siのエピタキシャル成長に関しても、現在、エピタキシャル成長実験を進めている。
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