研究概要 |
本研究では,ヒューマノイドロボットが多リンク系で構成されている非線形(かつ不安定)な力学系であるという特徴を陽に考慮し,そこに内在する力学的性質を利用したヒューマノイドのための制御方策の開発を行うことを目的としている. 平成14年度は,次の3つの準備的な研究を並行して進めた. (1)ヒューマノイドロボットを試作するための準備として,2足歩行ロボットPB・1の設計・試作を行った.具体的には,各脚3自由度の計6自由度の回転関節を持つ二足歩行ロボットである.傾斜面での理想的な歩行が受動的歩行が実現可能なように,全関節のアクチュエータとしてDDモータを用いた. (2)PB・1を想定して力学的モデルを構築した.そして,非線形力学系として本ロボットを解析し,本ロボットにおける受動的歩行の実現性とその安定解析を行った.その際足首関節の積極的な制御を念頭においた学習的歩行制御方策を考案した.これは人間の歩行を規範として,歩行が進むにつれて全関節の制御から足首の制御へと重点が置かれるもので,学習要素にニューラルネットワークを用いた. (3)コンパスモデルを用いて,坂道を歩き下る準受動的動歩行の制御方式を提案した.具体的には,第k歩目の歩行パターンを第k+1歩目の目標歩行パターンとして利用する方法で,シミュレーションによるとその歩行パターンは受動的動歩行を行う際の歩行パターンに収束してゆく.これによって歩き始めや外乱などが加わったときには能動的に歩行し,それ以外の定常状態では受動的歩行になるような制御方策が構築できた.また生物系とロボット系の研究者を集め両領域の融合を目指したワークショップを開催した.
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