研究課題/領域番号 |
13305035
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
玉井 信行 金沢大学, 工学部, 教授 (90010818)
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研究分担者 |
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所水資源研究センター, 助教授 (50222104)
藤田 裕一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センタ, 教授 (90027285)
有田 正光 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90130294)
山内 克典 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021322)
村上 哲生 名古屋女子大学, 家政学部, 助教授 (50329695)
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キーワード | 長良川河口堰 / 密度成層化 / モニタリング調査 / クロロフィル濃度 / 細粒分含有率 / せせらぎ魚道 / 浮遊性藻類 |
研究概要 |
長良川河口堰建設が堰下流域の塩水侵入に及ぼした効果をモニタリング委員会のデータの分析により行い、堰下流域が滞留化したこと、下層塩分濃度が下げ潮時に大幅に上昇したこと、密度成層化が進行したことなどの知見が得られた。ADCPによる現地観測の結果、塩水侵入の挙動の河川縦断面内の経時変化、堰直下流の揖斐川と長良川を結ぶ水路を通した河川水の交換を明らかにした。 長年集積された水質モニタリング調査データを分析した結果、海産性の渦鞭毛藻は潮汐に伴う塩分の増加によって敏感に変動することが示された。塩分と日射量を入力条件として、クロロフィル濃度を推定するモデルによる計算の結果、冬季に渦鞭毛藻のブルームが見られ、クロロフィルについては年間を通じた最大濃度を示すことを再現できた。 CD-ROMモニタリングデータから底質の全測点について細粒分含有率の経時変化図を作成し、その変動には高い微細土砂含有率からパルス的に下がるものと低い値から逆に上がる個所のあることを見出した。また、常に高い含有率を示す個所は洪水流解析結果では逆流域となっていることを確認した。 魚道と年を因子とする分散分析の結果、せせらぎ魚道を遡上する魚類が種数、個体数ともに他の魚道を有意に上回り、本魚道の有効性が示された。せせらぎ魚道内での塩水モニタリングの結果、魚道における塩水は潮汐に伴い楔状に遡上し、その遡上範囲と頻度から、魚道内は3区間に分けられることが明らかになった。本来ならば、延長十数kmに及んでいたと考えられる汽水環境が、せせらぎ魚道に圧縮されている様子を示すことができた。 長良川河口堰、及び類似の施設での水質、底質、浮遊藻類発生状況等の事例を収集し、緩流域での河川富栄養化現象の研究の現状と、それらの知識が長良川河口堰モニタリング調査に生かされているのかどうかを検討した。事業者以外の調査は、事前調査やモニタリングにほとんど引用されていなかった。
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