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2002 年度 実績報告書

高温用セラミックスの粒界量子構造設計

研究課題

研究課題/領域番号 13305052
研究機関東京大学

研究代表者

佐久間 健人  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50005500)

キーワードセラミック / 粒界量子構造 / 超塑性 / 微量添加 / 第一原理分子軌道計算 / 高温延性 / ジルコニア / アルミナ
研究概要

今年度は、主としてジルコニア系セラミックスを中心に超塑性変形挙動の実験的解析を行い、特に複数種の微量元素による高温延性に及ぼす効果を探った。各種の超塑性セラミックスの構造観察には現有の高分解能電子顕微鏡を用いるとともに、粒界の化学組成に関するデータをEDS及びEELSにより得た。高温機械試験の結果、超塑性ジルコニアの高温延性は複数種のドーパント添加によって大幅に向上させることが可能であり、特に応力低下効果の顕著なドーパントを数mol%複合添加することによって約1000%の伸び値が得られることが分かった。注目すべきは、こうしたドーパント効果が添加量に極めて敏感である事実であり、例えば超塑性特性を効率よく発現するための最適値が存在することが考えられる。こうした知見は従来の計算手法では見出されなかった点であり、量子構造設計によるセラミックス開発を行う上でめ新たなパラメータとして考慮する必要性が示されたと言える。一方、ドーパント添加ジルコニアセラミックスの粒界においてはドーパント元素が粒界偏積を起こしており、超塑性特性のみならず粒成長挙動に対しても影響を及ぼすことが判明した。特に、極微量の添加によっても超塑性特性に変化が生じるという実験結果から、粒界における物質移動に対するドーパント効果が明らかにされ、これは過去に報告されていない新規な知見であると言える。以上の実験結果は、高温用セラミック材料の新しい設計指針「粒界量子構造設計」の概念を確立するための基礎データとなると期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] A.Kuwabara, J.Katamura, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Influence of interaction between neighboring oxygen ions on phase stability in cubic zirconia"J. Am. Ceram. Soc.. 85. 2557-2561 (2002)

  • [文献書誌] H.Yoshida, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Grain boundary electronicstructure related to the high-temperature creep resistance in polycrystalline Al_2O_3"Acta Mater.. 50. 2955-2966 (2002)

  • [文献書誌] Y.Sato, F.Oba, T.Yamamoto, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Current-voltage characteristics across [0001] twist boundaries in zinc oxide bicrystals"J. Am. Ceram. Soc.. 85. 2142-2144 (2002)

  • [文献書誌] T.Yamamoto, F.Oba, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Current-voltage characterisitics across small angle symmetric tilt boundaries in Nb-doped SrTiO_3 bicrystals"Mater. Trans.. 43. 1537-1541 (2002)

  • [文献書誌] K.Nakagawa, G.Pezzotti, K.Ota, Y.Ikuhara, H.Yoshida, T.Sakuma: "Internal friction behavior of alumina polycrystals with engineered grain boundaries"Mater. Trans.. 43. 1557-1560 (2002)

  • [文献書誌] T.Watanabe, H.Yoshida, Y.Ikuhara, T.Sakuma, T.Muto, M.Sakai: "Grain boundary sliding and atomic structures in alumina bicrystals with [0001] symmetric tilt grain boundaries"Mater. Trans.. 43. 1561-1565 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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