研究概要 |
管内固気二相流における粒子の摩擦帯電(トリボチャージ)について実験的および理論的に検討した。異なる金属管(ステンレス鋼,真鍮,銅,アルミニウム)を用いて,数ミクロンの粒子を搬送し,それぞれの管に対する粒子の帯電特性を解析した.粒子の摩擦帯電の駆動力は,接触する二つの物質の仕事関数の差(この値を電気素量で割った値が接触電位差)に起因しており,管の材質を変えることによって,粒子を正にも負にも帯電させることができる.粒子の帯電量は管の長さとともに大きくなり,帯電量の変化は指数関数で表せることが分かった.帯電のメカニズムとして,接触電位差と静電容量を考慮し,粒子と壁の接触回数を乗ずることによって定式化できる.この式において粒子の帯電を特徴づけるのは,帯電特性定数と最大(平衡)帯電量である.帯電特性定数は,粒子が壁との衝突によって帯電していくときの程度を表したものである.最大表面電荷密度(最大帯電量を粒子の表面積で割った値)を実測すると,その値に広い分布が見られた.この分布は,接触電位差と接触表面間距離の比の値に対応しており,粒子表面の化学組成の不均一性と粒子と壁の表面粗さを含めた衝突時の動的接触間距離の分布に依存する.帯電量の分布は粉体種によって異なるが,異種の管を組み合わせると帯電量の分布の幅を制御(小さく)できる.これは,異なる管が粒子の帯電を交互に抑制するためであり,異種の管の結合間隔を短くするほど分布の幅は狭くなる.また,二つの管の長さの比を変えることによって粒子の平均帯電量を任意に決めることも可能である.このことは,理論的に説明でき,実験によって確証された.粒子の帯電精度をさらに高めるには,これらの知見を活かした異種混合管の開発が望まれる.
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